地震などの自然災害時に被害を最小限に抑えるため,国や自治体を中心に減災への取り組みが進められている.名古屋市では,地震災害危険度評価として,建物倒壊の危険性や道路閉塞の危険性を実データと数理モデルに基づき評価し,2015年に震災に強いまちづくり方針として公開している.特に,沿道建物の倒壊を想定した道路閉塞確率については,より安全な避難に向けた経路計算への応用などが進められている.一方で,報告当時からは 10 年近くが経過しており,その間の建物や道路網の変化が道路閉塞確率に与える影響については十分に検討されていない.道路閉塞確率の評価に必要となる,建物の構造,高さ,築年数のデータに関しては,自治体により本来の使用目的に沿った形で個別に管理・整備されていることが確認された.そこで本研究では,初期検討として地理情報システム (Geographic Information System: GIS) のデータとして管理される構造データと高さデータに着目し,建物同士のジオメトリ情報を用いた等価判定と重なり判定に基づくマッチング手法を提案した.数値評価の結果,等価判定手法と比較して,重なり判定手法はデータ間でのジオメトリの誤差や建物の扱いの違いに対して頑健な判定が可能であることを示した.
矢野 爽介, 名古屋市における道路閉塞確率の再調査に向けた建物状況の分析---建物の構造データと高さデータのマッチング---, 卒業研究, 関西大学, March 2026.
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