日々雑記


多忙?能力不足?

2023-11-2

学園祭の時期に大学に来たことがあるだろうかと思う。出宅の際に家人からも「今年はどこも行かないの?」と聞かれた。
やらねばならない仕事が"巨大盛"である。

週末には尼崎市立歴史博物館で講演もあり、資料は出したものの、パワポはまだ不十分。1時間半の講演なので増やすこともままならない。

学園祭後の授業準備も必要と黒田清輝のパワポも作るが、予想を超えて60枚越え。学生の発表もあるので狩野芳崖は次回に順延。

これまで、なぜこの時期にあちこち行くことが出来たのだろうかと不思議に思う。
多忙なのか、単に能力不足なのか、分からないまま右往左往するこの頃である。

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指定文化財

2023-11-5

午後より尼崎市歴史博物館で講演。

まずは文化財指定について紹介。
市によって対応がまちまちであることを説明。
歴史・民俗・考古・美術と審議会メンバーがいるものの、同分野は文化財保護課や博物館職員にもいる。
お互い専門家ながら、時には文化財保護課や博物館職員が先行して不思議な審議会になることも。審議会メンバーから疑問や意見が出てものらりくらりの答弁で強行し、たった1回の会議で指定文化財になることもある。出席の日当稼ぎに来る審議会メンバーもたまにいる。

そんな市に未来はないと説明し、指定品の主なみどころを解説。

審議会メンバーと職員氏の協働関係が上手くいくと、なるほどと思う作品がずらりと展示される。

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通常通り

2023-11-6

学園祭も終わり通常授業。

はや、来年度の時間割作成締切。
多少の変化はあるかも知れないが、3回生の講義で久しぶりに「近世彫刻史」を講義しようと思案中。

8年程前に行ったが、提出レポートは円空、木喰、宝山湛海のみ。
確かに参考文献はこれらに集中しているので無理はないと同情するも、この際もう一度講義をしてみたいと思う。

歴史的にも重要と思うし、何より人間味あふれる活動が見えてくる。
人の営為がわかれば作品もわかるということが印象派などの作品をみていると実感する。

目の前の授業を準備しながらあれこれと流れを考えている。

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恐れていたことが・・・

2023-11-10

9月に那覇で会議があってその後静かであると思っていたら、とうとう来ました、年末会議。

今回は樹種同定の先生も交えての第2回会議。

年末なのでさっそく航空機とホテルの予約。
まだ授業日にあたり、授業の後で空港に向かい最終便、ゆいレール終電1本前で日付が変わる頃にチェックイン。翌日も会議終了後、最終便で帰阪というハードスケジュール。

在庫切れの『博物館紀要』第11号が欲しいという元職場の先輩(現某大学の副学長)のために1冊もらわねば・・・。

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個人レッスン

2023-11-13

このところ、学生から個人的にミニ講義をしてほしいとの声がたびたび出てくる。(しかも西洋美術)

今日も「ヴィルヘルム・ハンマースホイ」。
もう誰?という世界。
なんでも中之島美術館「テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ」を見学したそうである。
出品リストをみると、92点中見るべき作品は32点、後は、もうええわというラインナップである。ターナーでいいじゃないかと勧めるも、頑としてハンマースホイ。

なんか事故物件めいた作品。
ハイハイ分かりました、と返事しながらさて、どうやって説明するか思案中。
学生の関心が広がるのはよいが、こちらもたいへん。

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李下に冠を正さず

2023-11-16

授業中、携帯を顔前に置いて頬を撫でている仕草を見つけた。
化粧か何かしているように見えたので、厳しく叱責し、教室から退出させた。

授業終了後に弁明のメールが来て、化粧でもスマホで何を見ていたわけではなかったことが判明し、後日、謝らなければならないと思ったが、若い学生は「李下に冠を正さず」ということを知らないのだろうかと。

なんかおかしくないか?

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原稿依頼

2023-11-17

懇意にしている機関から某仏像の原稿依頼。

適任者もおらず、なんとか頑張ると返事。
年末までほぼ原稿を揃えなければいけないみたい。
頑張らねば。

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ベルト・モリゾ

2023-11-20

授業の進行が上手くいき、上機嫌。

第1回印象派展についてはどこかで必ず講義しないといけないと思っていたが、90分では早く終わってしまうので、どうしようかと思っており、ベルト・モリゾと組み合わせたら、ほどよい時間に終了。
講義しながら、何で自画像が少ないのか不思議に思う。左も1885年の作品で、未完成ぽい。

次回はカイユボットとそれ以後の印象派展。

受講生は知らないだろうが、おっちゃん、仏像屋さんやで、ホンマは。

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X(旧ツイッター)

2023-11-21

昨夜、帰途 X(旧ツイッター)を見ていたが、余計なツィート、ベビー用品や撮り鉄関係、投資関係などをバンバンブロックしていたら、急にログインできなくなった。

始めたのは2016年。アカウントもうろ覚えで、使えなくなった。若干名の関係者と X(旧ツイッター)で連絡を取っているのだが、こちらも使えなくなった。

どうしよう・・・。

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第2回見学会

2023-11-23

午後から京都国立近代美術館「京都画壇の青春―栖鳳、松園につづく新世代たち」の見学会。8名参加。

時間の都合もあって今回は事前学習なし。
大半が京都国立近代美術館の館蔵品。土田麦僊や小野竹喬、榊原紫峰、岡本神草、甲斐荘楠音などの作品が展示。栖鳳、麦僊などはこの後のゼミ発表の質疑応答でも出てくるので、まずは作品を見ようと。

ちょっと不満。解説が少なすぎて驚く。一般の人が「吹田草牧」と言われても分からないでしょう。しかも(2021-4-26 甲乙つけ難く無難な決定)妥協の産物である金田和郎「水蜜桃」も甲斐荘楠音「横櫛」と岡本神草「口紅」と3作品並べないと意味が分からないのに。
最近の京都近美はちょっとヘン。

そのままコレクション展へ。
染織でちょっと驚いたのが、鎌倉芳太郎「藍朧型着物『南溟』」(1983年)。最晩年の作品。
こちらの頭がすっかり沖縄文化を代表する研究者だと思っていたが、改めて染織家であったことを思い出す。

見学会解散後、向かいの京都市京セラ美術館「竹内栖鳳展」へ。
さすが本家だけあって、展示作品も充実、解説も充実。 惜しむのは、栖鳳「羅馬古城図」や「日稼」が京都近美に展示されていたこと。「羅馬之図」や「羅馬遺跡図」の横に「羅馬古城図」を展示し、「日稼」も「散華」や「天女(素描)」と並べば、東本願寺関係だとすぐわかるのに。野暮な京都近美。

日も暮れて帰途につこうとするも京都市バスが激混み。
「はるか」を断念して京阪で帰る。

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里心を起こしてはいけない

2023-11-24

初年次授業のリレー講義。(担当最終回)

開講一番、「欧米に憧れるのは仕方ない。欧米に行くことも必要だろう。でも大学生だからお買い物三昧だけでは、手元不如意で、美術館でも行こうかとなって日本美術を見たらすぐに逃げなさい。だって、質問されても答えられないでしょう。Are you Japanese?と聞かれてもNo!と答えなさい」。
「だって、こんな人が待っていたらどうする?手にしたカタログで分からないことを聞きたがってんじゃない。答えられないでしょ」と。

そうして関西に住みながら日本美術に関して全く何も知らないまま生きていくんです・・・と。

その後は淡々と在外漆器と在外陶磁器(伊万里焼)の講義を行う。

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期待外れ

2023-11-25

仕事をひとつずつ片付けないといけないのだが、あれこれと積み上がるばかり。
そうしたなかで、派遣留学生の受け入れの可否もくる。

若干、心当たりがある。
以前、院生のとある発表会で、ウィーンの大学院生が「赤尾右京」について発表したことを仄聞した。どうやら「赤尾右京」の仏像がウィーンにもあるらしい。
興福寺中金堂本尊も赤尾右京ですよね、と同僚の先生に申し上げたことがある。
通勤途上、もし彼女(ウィーンの大学院生)だったら香川の作品や豪潮律師の話もしないといけない、来年は目いっぱい授業もあるし・・・などと考えていた。

大学に着いて書類をみると、男性の留学生。研究テーマは「江戸時代の文人画」。
もう、無理、無理。学部生でもあるまいに。
文人画なら他大学にいるじゃないかと思いつつ、お断りする。

さて、懸案の仕事をするか。

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各種入試 パート2

2023-11-26

本日は、推薦入試。併設高校担当。

パートナーとなった先生、「高校(の先生)から色々模範解答やリーハサルを受けていると思うが、そうした質問はしません。またそういう回答の場合はマイナス評価になることもあります」と。そうそう。

あれこれ質問しながら、第2志望学科を聞く。
英語→初等教育、英語→心理など。芸美もチラホラ。
うち(文学部)は、もう仏・独・中を捨てたので英語に集中。仏語・独語もわからずEUもなにもあったもんじゃない。

「英語が上手に話すことが出来れば、何の話題について話しますか?」と質問。
しばし無言。
ちょっと毒づいた事を言ったら、パートナーの先生、「いくらよいノミや彫刻刀を持っていても、よい彫刻や版画ができるとは思えませんよね。」とフォロー。
あのぅ、それはこちらのセリフなんですが・・・。

むしろ、血まみれになるほど危ないのだが。

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恐るべし京都

2023-11-29

朝から、他の研究者と共に京都某所で調査。

調査機材もあり、紅葉シーズン、京都で前泊しようと思ってもとても高く、とはいえ自宅を早朝に出てもあの混雑では・・・と大津で前泊。

斯界ではちょっと有名な寺院。もちろん拝観謝絶。
観察していると、頭部は中間材を挟んで前後2材矧ぎ。丁寧な胡粉盛り上げ彩色も一部に残り、室町時代には間違いないが、さて。

奈良市に生まれ、長年の(研究の主たる)育ちも奈良なので、洗練された京都仏師の京都の作品はちょっと苦手。
こんなことなら、根立研介『室町時代の彫刻-中世彫刻から近世彫刻へ-』を熟読しとけばよかったと後悔。

須弥壇の立像も見ながらあれこれ話しながら結構、難問。
恐るべし京都。

珍しいことに仏像一躯に丸一日がかりの調査。

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