関西大学 システム理工学部 電気電子情報工学科 ネットワークデザイン研究室 (平田ゼミ)

研究内容について

私たちの研究室ではインターネットに代表される情報通信ネットワークに関して,伝送効率改善や省電力化といった,より良いネットワーク環境を構築することを目的として研究を行っています.そのために,光や無線といったネットワークの設計方法や,コンテンツ指向ネットワーク技術,Software-Defined Networking (SDN)によるネットワーク仮想化技術等の将来ネットワーク技術に関する研究を行っています.また,データセンタネットワークに関する研究や,ネットワークを利用したアンドロイドアプリの開発なども併せて行っています.

全光ネットワーク設計

現在のインターネットでは,通信路では光ファイバを用いた光信号でデータを送信していても,データの中継処理は電気信号に戻して処理をしています.全光ネットワークは中継処理を含むネットワーク内のすべての処理を光信号のまま行うことにより,低コスト,低消費電力で大容量伝送を実現する将来のネットワーク技術です.本研究では,この全光ネットワークをどのように設計することで効率よくデータをやり取りできるのか,といったことを扱います.

データセンタネットワーク最適化

GoogleやAmazonといった企業では,データセンタの運用によりクラウドサービスを提供しています.データセンタでは,多数のサーバがスイッチによって多段接続されるような特殊なネットワークを形成し,サーバに割り当てられた仮想マシンが相互に通信を行いながらユーザが要求するジョブを処理します.データセンタで消費される電力は,全世界の消費電力の数%にまでなっており,その省電力化は非常に重要な課題です.本研究では,データセンタの省電力化を行い,かつ,ネットワーク資源を有効利用できるような仮想マシン配置やジョブスケジューリング,伝送制御等のネットワーク最適化に関する研究を行います.

将来ネットワーク技術

近年のWebや動画配信,クラウドサービスといったアプリケーションの発展に伴い,コンテンツ配信がインターネットの主用途となっています.そのような変化に対応するため,従来のIPネットワークに代表される,データを送受信するホストを主体としたネットワークではなく,送受信されるデータ(コンテンツ)を主体としたコンテンツ指向ネットワークが注目されています.また,アプリケーションの多様化によってトラヒック特性もまた多様なものとなってきたことに伴い,論理的に構成されたネットワークをソフトウェアで制御することでネットワークの構築や制御を柔軟に行うSoftware-Defined Networking (SDN)を用いたネットワーク仮想化技術が急速に発展しています.本研究では,これらの将来ネットワーク技術を対象として,新たなネットワーク制御理論を考察します.

マルウェアの挙動解析

近年,コンピュータウイルスやワーム,ボットネットといったマルウェアが非常に進化しています.本研究では,日々進化するマルウェアの脅威を数学的モデルにより明らかにした上で,それに対抗するアンチマルウェアシステムを構築することを目標としています.ここでは,確率論を用いたアプローチと決定論を用いたアプローチの二つにより,それぞれマルウェアの挙動をモデル化しています.確率論的モデルにおいては,短時間にランダムで発生するような事象を解析することが可能であり,一方,決定論的モデルにおいては,将来の挙動を一意に予測することが可能です.このように多角的な視点により,その脅威をより深く考察し,マルウェアの進化に対抗するアンチマルウェアシステムの構築を行います.


研究のやり方について

本研究室では,上記で述べたような扱う問題をモデル化し,それらを待ち行列理論や最適化理論等による理論解析やパソコンを用いて行うシミュレーション実験により評価,考察することで研究を進めています.また現在は,それ以外にもアンドロイドアプリの開発等も行っています.これらの研究は,基本的にはノートと筆記用具,そしてパソコンを使って行います.そのため,確率論や最適化等の数学的な考えが好きな人,またはプログラムが好きな人が私たちの研究室に向いていると思います.逆に装置に触りたいとかいう人には向いてないかもしれません.

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