異常認知心理学研究室(関西大学社会学部 守谷順)

研究室紹介

研究室概要

不安は誰もが持つ感情で,不安になるからこそ対策するという意味では,とても大切な感情です。しかし,不安感情が度を超えて持続してしまうと,その人をひどく苦しめることになります。ではなぜ非常に強い不安を抱くようになるのでしょうか,そのような人にはどのような特徴が見られるのでしょうか。個人が持つ不安のメカニズム,そこから考えられる予防対策について明らかにすることを目的としています。さらには,集団の不安に着目して,外集団の脅威によって生成されるステレオタイプ,偏見についても,そのメカニズムの検討を行っています。
不安,抑うつなど精神疾患のメカニズムを健常者レベルから明らかにする異常心理学(精神病理学),個人に見られる注意や記憶など様々な認知機能を明らかにする認知心理学,集団によって築き上げられる偏見やステレオタイプを対象とする社会心理学など,様々な分野を包括的にとらえ,効果的な方法論を取り入れて研究に取り組んでいます。
ただし,興味の範囲は広いので,研究対象を限定的にせず学生の自主性を重んじた進め方をしています。

研究テーマ

社交不安の注意・ワーキングメモリ

人前で話すのが苦手,緊張して汗が出てその場から逃げ出したくなる,そのような特徴が挙げられる社交不安傾向の人には,果たしてどのような認知機能が見られるか明らかにしています。例えば社交不安の人は,つまらなそうな顔,怒っている顔などのネガティブな情報に対して,自ら注意を向けて,そこに注意を向け続けてしまう注意バイアスなど知られており,その詳細なメカニズムを研究しています。また,不必要な情報までワーキングメモリとして保持してしまう特徴,その背後には社交不安の人の注意制御の問題が隠されているなど,広く不安と認知機能との関係について調べています。

視覚的注意とワーキングメモリの相互作用

私たちの注意の向ける方向は必ずしも自由ではありません。様々な制約によって注意は操作され,その一つがワーキングメモリです。ある目的のために記憶に情報を保持していると,その情報に注意を向けやすくなることが知られています。先ほどの不安の例のように,嫌なことがあってネガティブな情報を記憶として保持していると,それと関係の深いものに注意を向けやすくなっている恐れがあります。
このように,注意と記憶(特にワーキングメモリ)とが互いにどう影響を及ぼしあっているか研究しています。

イメージの不安,偏見にもたらす効果

視覚的なイメージは様々なものに影響を与えると考えられます。認知行動療法から発展されたイメージ修正再処理法では,イメージを用いたエクスポージャー,制御能力の向上を目指して不安の低減を可能とします。また鮮明で具体的なイメージは,イメージと合致した情報への視覚的注意を促します。さらには他のカテゴリーに対するイメージが否定的なステレオタイプを強めたり,逆に仮想接触効果など外集団とのポジティブな交流のイメージが偏見を弱める可能性も考えられます。イメージを中心に置き,不安や偏見へ与える影響について検討しています。


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