日々雑記


しばし御辛抱のほどを

2009-4-1

入学式もあり、新年度スタート。

過日の卒業パーティーでのこと。
文学部長が内ポケットから出した文学部案内(冊子版)のコピーを示して、「これ、大学HPに使わせてもらえないかな?」と打診。

文学部案内(冊子版)専修紹介の頁には、娘から「おっー、体張って、仕事しとる!」と揶揄される写真が掲載されている。

ホロ酔い加減も手伝って、これでよろしければと快諾。今日より大学トップページと文学部トップページの間に挟まれた頁に掲載。
しばし御目を汚しますが、なにとぞ御辛抱のほどを。

でも、これで来年度の志願者が減ると、ちょっと責任問題かも・・・と杞憂。

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名札男

2009-4-2

出勤途上(人様より遅い)、梅田界隈のはずれで多くの新入社員を寓目。

彼ら・彼女らが新入社員とわかるのは、真新しいスーツ姿であることはもとより、一部の者は首から社員証をぶら下げたまま闊歩しているからである。昨日あたり、「社員証は常時携行するように」とでも言われたのだろう。
そんな姿だと、パチンコ屋はもちろん喫茶店にも入れないのにと、“不良”は思う・・・。

周囲頭上にはテナント募集の張り札が並ぶビル群。
頑張れよと思いつつ、角を曲がると、ほら、サボリ発見。
ビル角の柱影で携帯をいじる名札男。
昨日、入社した社員の携帯に仕事の用件などが入ってくるわけはないと思ってしまう。

大学に着けば、みるからに新入生らしい学生とそれを取り囲むサークル勧誘の在学生。
間違っても、私に勧誘ビラなど渡してくれる者などいない・・・。

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疲弊

2009-4-3

午後、新入生履修ガイダンス。

某ガイドブックQ&Aから。
Q:どういうふうに授業科目を選んで、時間割を組み立てればいいのでしょうか?
A:そんなに難しいことではありません。・・・
確かにそうだが、それは理解している側の話。

高得点のTOEICなどで履修済になる連絡や、抽選科目の倍率など、全ての案件、事情に精通しているわけはないので、特殊事情で質問されても、ちょっと困る・・・。
全学共通科目一覧(曜日・時限)などが紙媒体で配布されていないので、皆、中途半端に時間割を埋めて帰り、その後はWeb画面とにらめっこするしかない。

1年生はまだどこにも分属していないので、もう専修ごとの履修相談コーナー(19専修)は廃止したらいかがか。
そうすると、PRしたい専修からクレームがつくので、体育館あたりで「英語」・「第2外国語」・「全学共通科目」・「学びの扉・知パス」・「知ナヴィ」・「専修紹介相談1」・「同2」・「抽選科目・スペシャリストプログラム等」・「総合相談」ぐらいのブースを設けて、学生が各ブース間を移動して一度、紙の上で組み立てさせてWeb履修させればよいのにと思ってしまう。
どのみち、授業開始の1週間は“お試し期間”。
計80頁のガイドブックの半分の頁が、履修にほとんど影響のない専修紹介。

4回生秋学期に一般教養で(卒業に)リーチをかける、よく知る学生が「学びの扉」を(いまごろ)履修する、といったハラハラドキドキの遠因はこのガイダンスにあるのかもしれない。

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フィギュア

2009-4-4
東京国立博物館で先月末より「国宝 阿修羅展」が開催。
グッズのひとつである阿修羅フィギュアは、初日午前中で品切との由。
出来栄え(海洋堂製作)や価格も魅力的。展覧会場のみ限定販売で、なんとなく事前に予想できた事態にも思えるのだが。

仏像ブームの折から主たる購買層は分からないものの、フィギュア好きの若者も多く交じっていることと思う。宗教的フィギュアを通して「信仰」・「歴史」まで広がるかどうかは別として、ともかく良いことだと思わねばならない。

無謀とも思ったのだが、講義のひとつを丸ごと仏像に。
教卓隅に、東京の義弟を東博に走らせて「阿修羅フィギュア」をゲットさせて置くか、あるいは学生の間で異様な盛り上がりのある(ことを知った)、《新世紀エヴァンゲリオン》の美少女フィギュアを置くのか(作品によってはセクハラとも)、初回講義の掴みを思案中。
当日になって意外?にも大真面目に「ガンダーラ:仏像の誕生」だったり・・・。

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花見

2009-4-5
東近江市・西蓮寺での「織田瑟々 桜画展」へ。
3年ぶりの見学。
織田瑟々(おだ しつしつ・1779~1832)の他、三熊思孝、露香、広瀬花隠の作品も。もちろん全て個人蔵。

双幅(今年は脇壇)以外は、坐して鑑賞。瑟々の桜樹を前に集う地元のひとたち。
眺めていると、幹が折れた桜樹もある。折れた幹からは若い枝が伸びて桜花が咲きほころぶ。
寡婦となり、「織田氏女瑟々」「織田氏貞逸母」と記した署名と結びつけるのは考えすぎか・・・。

本堂を出ると、偶々N・S先生とばったり。
地元の人や三熊派を知る近世絵画フリーク、研究者ぐらいしか気に留めないであろう2日間限りの展示会への“仏像屋さん”の出没がとても意外に思えたらしく、「このあたりにお住いですか?」。
心あたたまるマニアックな展示会も今年で7回目。

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授業開始

2009-4-6
中学校、高校よりも早い・・・。
第1学舎角には教室名の一覧地図が張り出してあり、それを見ながら各々の教室へ。
大混雑の初日が始まり、学生の来室も終日。

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変形

2009-4-8
会議の後、教員懇親会。
文学部総合人文学科19番目の専修となった「アジア文化専修」のN先生としばし歓談。
意味や存在理由がわからないモノは、どんどんと勝手な想像が加えられて、形を変えて、ついにはなくってしまう・・・というような会話。もちろん仏像ネタですが。

テーブル上には某社の麦酒。
東京へ見学に行った学生が、吾妻橋にある某麦酒本社ホール屋上の「炎のオブジェ」を×××と称していたことを思い出す。形だけでなく名称も変わるのかとも想像。

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菅楯彦の画業展

2009-4-9
とある演習。初回ガイダンスをさくっと終えて、受講生と共に博物館「菅楯彦の画業」展を見学、解説。

「絵画は記録する」というが、大事件・大事故ならずとも、日々の日常を描くと、そのまま当時の風俗を記録する絵画ともなる。

メインの《職業婦人繪巻》は、女性が社会進出を果たした大正期に、どのような職業に就いていたのかを知る絵巻。そのほか図書館蔵の菅楯彦作品や当時の雑誌広告なども展示。服装を見ても和装と洋装が混在している。
ひとりで面白がってはいけないので、あれこれと解説。
皆さんも初めて見る作品だが、私も初めて・・・。

菅楯彦(明治11年~昭和38年)は、近代大阪を描いても、そこはかとなく幕末・明治の浪速情緒を物語るノスタルジックな作品が多い。しかし、この《職業婦人繪巻》はまさに当時の風俗を描いた、たいへん珍しい作品といえる。
ケース内では2、3場面しか広げられないが(但し下絵など関連展示が充実)、4月25日(土)には全幅展示があり、講演会も開かれる(博物館へハガキ・FAXにて要申込)。
日曜日は5月17日(日)のみ開館。学生ならずともお近くにお立ち寄りの節はぜひ。

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瀬戸内

2009-4-11
某所で調査。
汗ばむほどの陽気。桜も落花さかんで、ほぼ今日あたりまで。

近世の仏像は、意外にも近・現代彫刻とよく似ている。作品やそれに関連する古記録だけでなく、作者(仏師)が残した手紙などの古文書があり、造像に至るまでの経緯が判明したり、手紙の内容と作品との対比など、色々考えることも多い。

京都で作られた仏像は、仏像本体、光背・台座とそれぞれムシロで梱包され、木箱に詰められて大坂へ送られる。大坂から廻船で近傍の港に運ばれ、港からは関係者が牛馬で寺まで運搬。

仏像を調査すると、しっかりと銅製天冠などが釘留め。光背ホゾは台形で、光背の中心線が左右にずれたり、光背が前傾しないようにしてある。仏像の 像底には、台座蓮肉天板の厚さと同じ厚みをもつ小さな板材を貼り、台座蓮肉の天板には板材と同寸法の穴を開けて、そこに仏像本体をはめ込む。
蓮肉天板裏から板があてられ漆箔を施せば、いかにも厚みのある蓮肉上部を方形に刳ったようにみえる。

こうした処置を施すことで、仏像の扱いに不慣れな寺の人々でも簡単に、光背・台座の中心線上に仏像の真正面(正中)がくるように仏像を据え付けることができる。従って仏師は当地へ来ていない。
大型家電と同じで、「本体価格に運搬費、据付費は含まれておりません」ということか。
もちろん、大きな仏像等を据えつける場合には仏師はやってくるだろうが、工房の弟子、配下の者であって親方は来ない。これも関連業者や下請業者と同じ。

瀬戸内まで来て、仏像調査して大型家電の設置を想像するとは・・・。愚考極めり。

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お互い意地

2009-4-14
履修科目“お試し期間”もようやく終了。
春学期は補講日を入れても14週しかない。ガイダンスで既に1回使っているので、演習発表などで20名も30名も来てしまっては、1人あたりの発表時間や質疑応答やコメントはごく僅か。
幸か不幸か、受講辞退者も出てなんとか見学会も設定。

学生の頃、かなり遠方から来られていた非常勤の先生が1時限(9:00~)に《宗達光琳派》の科目を開かれていた。何人か履修していたようだが、出席していた学生は私一人。
雨であろうが、体調不良であろうが、週1回朝1番にご対面し、マンツーマンで授業が始まる・・・。

後年、このことをお話すると、「(授業)前夜にあなたの顔が浮かんでねえ。明日も来るだろうなぁと。お互い意地になっていましたよね。」と。

先生はお元気だろうか・・・。

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文字と現象

2009-4-15
会議の後、授業準備。
現象と文字との関係。文字は現象を生々しく伝える一方で、時には現象を裏切り、まったく逆のことを伝えることもある。
ちょっと1年生には、はぁ?という内容かも知れないと憂うので、学内でネタ探し。

あった、あった・・・。某学舎で発見。
ここで座り込んで飯を食ってはいけないという貼札。もちろんこのあたりでは誰も座り込んでいないし、食事もしていない。
しかしよく考えると、ラミネートの貼札が掲示される以前は、ここで多くの学生がお昼時に食事をしていたという現象を伝えている。

文字だけをみると「ここでは食事をしていない」と納得しそうだが、以前あるいは別の場所では、こうした現象が広まっていた(いる)ことの証ともなる。
現に、階下のフロアでは学生が車座になって談笑しているではないか。(彼等の名誉のために言うが、ここには上記の掲示はなく、また食事もしていない。)

過去を扱う我々にとって、文字は有益な情報をもたらせてくれる存在である。しかしながら全面的に依存や信頼を寄せることは、危ないことでもあると、自戒の念も込めてパチリ。

それが授業で受講生に伝わるかどうか、ここでもまた文字(言葉)と現象との乖離が発生しないことを祈りつつ、野外の楠の大木に向かう。
学内も見渡せば授業ネタの宝庫である。

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秘密情報

2009-4-16
卒論ゼミも終わって就活の話題になると、とたんに表情が曇る・・・。
内定をもらっていても不安だし内定が出ないともっと不安。そこでいつものように暴言。
「ええか、皆、元気だせ! 会社は3月期の決算が済んだ。これが5月の連休明けから公表される。今は元気な会社にみえても、決算で実は大赤字だったりすることが公表される。そうなると、銀行からの融資が停まって、たちまち倒産になる会社も現れる。(内定)決まっていない人は、そうしたことを考えながら(就活)努力しなさい。決まった人も油断したら、秋になって《内定取消し》という憂き目にあうかもしれん。頑張りぃ!」
「それってどうやったら、わかるんですか?」とやや色めき立つ学生。
「それはなぁ・・・」と小声で、さも秘密情報ぽく。皆、頭を寄せて聞き入る・・・。

レポート試験なら巧みにネットで情報を拾ってくるのだが、まだまだ学生の身、企業情報までは・・・。
決して「秘密情報」でもなんでもなく、社会ではごく一般的な話題をしたまでなのだが。

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写実のキモさ

2009-4-18
総合図書館へ本の返却。展示室では、5月17日まで「長谷川貞信-大阪の浮世絵師-」展が開催。
美人画・役者絵から名所絵、時事物、紙芝居、立版古(タテバンコ)まで。

なかに「大勉強」と大書した「和洋金物・煎茶砂糖類」を商う舩津本町上の永尾政藏の引札。明治28(1895)年11月に富山・吉尾達二の発行。2代目長谷川貞信。

横に「紀元2556年」(明治29年)の暦があるので、年末にお得意様へ配ったカレンダーである。
図柄は鷲が海軍旗・旭日旗をくわえて万歳をする軍服姿の恵比寿サマと大黒サマ。軍服姿でバンザイするのは、日清戦争の勝利から。旗をくわえた鷲は講和を仲介したアメリカか、三国干渉したロシアか・・・。
恵比寿サマのバンザイが崩れているのが微妙・・・。

明治になって石版、銅版によって人物も写実的に。ところがめでたいはずの恵比寿サマと大黒サマが、どうみても“キモい” 親爺にしか見えない。引札に登場する人物はどれもキモい。そのカレンダーを壁に張るなど信じられないことだが、明治の人たちは実際、どうなん?と問うてみたい心境。

図書返却のはずが、ずいぶん寄り道。

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就活① 資格

2009-4-22
2回生合同合宿への参加が不調である。
なぜか入学年次によって参加・不参加の波があり、今年は凪にあたる年なのかと思う。
合同合宿は旧哲学科3専修の“必修履修”でもあるのだが。

不参加のひとりは“簿記講習会”とダブっているからだという。
「ぼき~?」。
商業高校の「商業英語」に近いニュアンスを持ちつつ、きっと商学部希望だったが、間違って文学部に来たんだろうなとも思う。
簿記が就職に有利かというと、不利ではないが有利でもない。経理畑や会計事務所一筋を目指すならともかく、その他では特段必要ない。むしろエクセル、特にマクロが使える人材の方が現場的には有利であるとの声も聞く。(市販の会計ソフトもあることだし)

「月曜朝刊の折込み広告」に掲載しているような資格は、その現場に入って初めて有利となるもので、資格をもっただけで就職が有利になるとは思えない。
入学式の学生コメントで「在学中にファイナンシャルプランナー資格をとって・・・」といった新入生もいたが、大学出たての22、3(歳)の若者に、預貯金、保険、ローン残高など一切を明かして、将来設計を問いたいという中高年はあまりいない。
「派遣切り」に遭った者が「危険物取扱者」の資格をとっても就職できず、正規雇用への道は遠いと嘆くが、既に取扱者がいる工場やセルフ全盛のスタンド等でどれほどの求職があるのだろうか。

資格を取得させる講座等が「就職に有利」を謳い文句とするのはわかるが、人を雇い入れる企業が求めるものは、全くといいほど資格とは別種のものである。敢えて就職に有利な資格を掲げるとすれば、普通免許(AT可)ぐらいだろうか。

資格取得に翻弄されるよりも、自分にとって心地よく思う、より良く思う仕事はなんなのか、なぜ働くのかを考えることのほうが、よほど就職に有利である。
うちのゼミ生にとっては“耳たこ”の話題であるが、決して“奇”をてらってはいけない。
大学生としての分をわきまえてよく学び、よく遊ぶというフツーの事が、結局は最短路である。

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就活② やぶ蛇

2009-4-23
・・・と、昨日書いたら、今度は「親子で就活」という話題。
最初はネガティブキャンペーンかと思ったほどで、ヲイヲイ!というのが正直なところ。

保護者の年齢層は大半が50±5歳ぐらい。就職したのは1978~1988年あたり。
「職業選択の自由アハハーン」とか「とらばーゆする」「デューダする」が流行った頃。バブルの恩恵もあり、「花長風月」(花形企業で長期休暇もあり、社風がよくて月給も高い)を望んだ世代でもある。

経験則が通用しない今、何をアドバイスするのだろうか。適性検査?エントリーシート?
よもや「(世間でよく耳にする)有名な会社に入ればそれで幸せ」やら「業界大手だから(破綻することなく)終身雇用」とかの安直なイメージや幻想ではないだろう。それが通用しない現在であることも痛いほど知っている。
幻想のアドバイスを信じた学生(子供)も、見ようによっては、那須与一が突如、太平洋戦争に駆り出されるようにも思えてくる。
「その終身雇用を潰したのはあなた方!」といわれれば、ぐうの音もでない。
どう考えても、やっぱり「やぶ蛇」だって。
そんなことはない!大学やマスコミが世間知らずなだけだ!と猛反論される方が大半であることを信じつつ。

とはいえ、理論上は存在するであろう才能とか個性の開花を期待していることのみを標榜する学生も問題である。決して“花咲かじいさん”は実在しないのだから。

大学のPTAもまじかながら、なんとなく懲罰まじかといった雰囲気もないでもないが。

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サウイフモノニ ワタシハ・・・

2009-4-24
朝より某所にて若い衆(研究員)が、宝物調査。事前に聞いていたので、「(゚Д゚)ゴルァ!」と突如、乱入。
(手土産もなく、大学教員にあるまじき姿)

挨拶もそこそこに、調査場所の一隅にどかっと座って、調査風景を見学&監督。
やや、ぎこちないものの(←それはアンタが居るから)、一生懸命に什宝物を調査・撮影している傍らで、時折、檄(ヤジ)を飛ばして、その場を凍てつかせるが、坐した場所からは微動だにせず。
午後には“親方(研究代表者)”も登場。今まで座っていた椅子をさっと差し出し、助言しながらテキパキと調査協力。さも午前中から調査指導に情熱を傾けているといった風に。

夕刻、「いやぁ皆、ご苦労さん」と労いの言葉をかけて退散。宝物庫をざっと見渡すと、調査はまだ3、4回は続きそう・・・。
帰り際、「また来てもいいかなぁ?」とあくまでソフトに問いかけ。「い、いいですょ、別に・・・。」と露骨に引きつった表情の学生。「よっしゃ!それなら、また来るわ!」

・・・サウイフモノニ ワタシハナリタ クナイ

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灯台もと暗し

2009-4-26
大学。「仏の顔も三度まで」ということなので、仏像講義もしばらくお休み。
受講生からのメールがあって、「総合図書館で『仏像の歴史 飛鳥時代から江戸時代まで』を借りて読んでいます。」と。
むぅ、別に間違った選択ではないが、1987年の刊行。

あの本は・・・と思って蔵書検索をかけると、不思議なことに架蔵されていない。当然架蔵していると思って調べなかったこちらも悪いのだが・・・。
幾つかの大学で参考書や教科書に使用しているようで、2001年の初版以来、ほぼ毎年版を重ねている。

大慌てで、手元にあった1冊を寄贈。「どちらへ置きましょうか(架蔵しましょうか)?」と職員氏。「開架閲覧室に!」。
灯台もと暗しである。

ここからは出題しない(解答も存在するが、220頁中から探し出すより配布プリントのほうが早い)ので、間違っても試験前に争奪戦を行わないように。

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配属

2009-4-28
出勤途上、某市へ関連資料料を持参。
担当者とは初対面なので、「○○さん、おられますか?」と、デスクに向かっている人に尋ねると、「おぉっ!」。
大学某所の学生スタッフ。4月からこちらで正職員として採用。

以前、上からの依頼仕事をそのままこちらへ流して、「考えて仕事せいゃ!単にメッセンジャーでは困るやろ」と叱責したことがある。たぶん、生々しく記憶が甦ったのだろう、久しぶりながらやや表情は硬い・・・。

御心配なく。もう君は社会人なので私の出番は終わった。きっと同じような仕事の時には、生々しい記憶がある限り、同じ失敗はしないはず、上司から怒られる回数もひとつ減ったはず・・・。そうこうしているうちに担当者到着。

過日も、卒業したゼミ生から「配属、決まりましたぁ~。」とのメールがあり、入社式も終わり、もうそういう時期かと思う。

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本山コレクション

2009-4-30
過日、関西大学博物館運営委員会に出席。
12時過ぎからの会議。(授業があるのでお昼休みに会議、そして再び授業へというのが授業期間中の会議パターン(教授会は除く)。

常設展示は、考古資料を主とする「本山コレクション」。元東京人類学会初代会長の神田孝平の収集資料をもとに、元大阪毎日新聞社社長の本山彦一(松陰)が収集した資料で、重要文化財16点、重要美術品12点を含む約15,000点の資料を所蔵する。建物も登録文化財。

会議後、「展示もみやすくなりましたので、どうぞご覧下さい」と館員よりアナウンス。
一見して全体の形-どういうものであるか-が理解できる資料が厳選され、見栄えよく展示されている。あれもこれもではなく、あれ!とこれ!という風に。収集資料なので出土地不詳が多いのは、やむを得ないが、土器片であっても本山彦一の筆による出土地名の墨書を見せるように展示。

偏見を承知の上でいうが、考古資料の展示は往々にして「ひと盛 いくら」となる。市町村の資料館・博物館のなかには、主に考古資料がメインながらも、遺跡からの微細な土器破片(完形となった時の形がわからない)をずらり並べて「古代のロマン」などという。あるいは、赤い毛氈の上に小さな石板1点を置いて「巡方」などと平気で記す。遺跡から完全な須恵器の杯身・蓋などが多数出土すると、展示台はまるで大判焼の鉄板である。(名指しは控えるが・・・)

大学博物館といえど(だからか・・)、運営予算は桁が間違っているのかと思うほど少ない。いずこも同じ状況である。だからこそ、学芸員の資質・能力・技能がそのまま展示に反映されると実感。
大学博物館職員・学芸員の労をねぎらいつつ、既に遅刻している教室に駆け込む・・・。

今日は、授業で掛幅(オリジナル)を使うので「矢筈」を借りる。

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