日々雑記


下れ 仏罰

2012-02-01

今年は、日蓮が没して820年。
入滅した地である池上本門寺には、狩野孝信・探幽の墓もある。長谷川等伯、本阿弥光悦、俵屋宗達、尾形光琳らはみな法華信徒。もちろん狩野元信も。

正月早々に経蔵にあった仏像(一塔両尊)が盗まれ、いまだ発見されていない。

「台座ごと」盗難というので、全体の高さは67cmほど。中央に「南無妙法蓮華経」と書かれた宝塔、向かって左が釈迦如来像、右が多宝如来像で、共に胸前で合掌する“双子”の像。光背の上には釈迦が多宝塔、多宝が宝珠を表わす。共に両肩と首周りに黒漆がみえる。仏像だけが台座からはずれるかもしれない。

こういう大切な情報はマスコミでは報道されない。早く見つかって、犯人に仏罰が下ればよいのに。

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入試

2012-02-02

昨日から始まった入試に参戦。
普段あまり会うことのない事務職員氏ともご挨拶。外では現役学生が受験生を誘導。総力戦なり。
午後には小雪も降り、プチ積雪。さっそく道路には塩カリもまかれる。

2月入試は8日まで続く。
会場は大阪(千里山)のほか、東京・金沢・名古屋・和歌山・姫路・岡山・広島・高松・福岡・浜松・京都・神戸・松山・札幌・仙台・新潟・福井・津・滋賀・松江・山口・徳島・高知・小倉・熊本・鹿児島・沖縄と全国津々浦々。

入試が終わると採点。といっても、秋学期試験の分。これがなかなかたいへん。その他にも締切を過ぎた査読もあって、なんか忙しく、はや春休みに入った学生がうらやましい限り。
普段は机をおなじくしてもこちらは「仕事」である。

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再び堺県?

2012-02-04

大阪都構想から堺市離脱。大阪市長や知事は「堺市民の民意を無視していいのか 」とお怒りだが、堺市分割を焦点に選挙すれば、きっと民意は違うはず。

「西成特区構想」にみる破たん気味の構想(結核罹患率日本一の所に、いくら市民税・固定資産税を一定免除し、塾クーポン券を配布しても子育て世代には魅力ない)からしても、ヤバくなったらさっさと抛りだして国政へ転出するのだろう。

そうした危機感をもつ人や自治体も多い。
もともと、地盤沈下の新興“大阪府”の面目を保つため「堺県」は大阪府に合併されており(それでも旧堺県域が大きいので再び奈良県を分離)、「大阪都」が許されるならアンチ市長・知事らの地方自治体が団結して「堺県」を再興することも可能かもしれない。
地方政党もあるが、地に足のついたことをしないと、所詮は移ろいゆく民意に淘汰される。

おもろかったらええやん!という風土(ツケ)がそろそろ回ってくる頃。

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講評(その1) 活舌は悪くはなかったが・・・

2012-02-05

終日、秋学期試験採点。
所懲りもなく、この問題を出題。今回は員数も含めて答えよと。

回答をみると、8人とか計10人とかがぞろぞろ。最初はこちらがわからなかった。
問題には「員数(数)も含めて」とある。をいをい。

国語力、大丈夫か?いくら文学部と違うといっても、「員数」の意味ぐらいわからんかったら、世の中通用しませんがな。発注票や注文書、書けまへんで。「書棚 員数 2人」って書きますかね。
「就活のためにあまり出席できませんでした」とか「これさえ通れば卒業ですので・・・」と書くバカ者もいたが、8人とか10人と書いている間はとうてい世間に出せない。もちろんアウト。

大昔、学生が作った展示出品リストに屏風でも手紙でも全て「1個」として、怒鳴りつけたこともあったが、隔世の感。頭痛すぎ・・・。

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講評(その2) 狩野永徳

2012-02-06

「天正18年(1590)に狩野派の棟梁である(     )が急逝し・・・」。ここには、「狩野永徳」あるいは「永徳」が入る。

ところが、「狩野英徳」「栄徳」「狩徳」など珍回答続出。お笑い番組ばかりみているからそういうことに・・・。「ちょっとは考えろよ」と思っていると、今度は「観修寺晴豊」。あのね、狩野派の棟梁なんだから「狩野○○」でしょう、ふつう。

特にこの学年は五月蠅かったので、例年になくひどい有様。予告 通り、ドンドン落とす。

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そっちなのね。

2012-02-08

今日で入試(2月)も終了。

Googleの画面に屏風のロゴ。カーソルをあてると「伊藤若冲 生誕296年」の文字。なんと中途半端なことで・・・と思ったが、クリックすると若冲の検索結果。上のほうにWikipedia。そこには「正徳6年2月8日- 寛政12年9月10日」とあって今日が誕生日。そっちのほうだったのね。
ご丁寧に(1716年3月1日)ともある。

ロゴに使われた屏風は「鳥獣花木図屏風」。画面をよく見ると中央には丸い白象だが、右側に緑色をした象のような動物、左側には白い馬のような動物。
あらあら、これもそっちのほうなのね。こういうのを世間ではピント外れというのかも。

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教材

2012-02-09

やんごとなき事情にて滋賀県某所へ。

通りを歩いていると、ペコペコしたガラス扉の向こうに染付の皿がみえた。ん?
店先には藍染めの綿布などが並べられ、アンティークショップ(骨董屋)である。
遠目からも柳に中国風の楼閣の図柄や縁の模様からウィローパターンの皿と判る。

授業でも、「 イギリスの小学校1年生でも知っている物語 も知らないで、何が『イギリス文化の理解』ですか!」と挑発?している素材でもある。
引き込まれるように店内へ。確かにウィローパターンの長皿ながら、画面左側には中国風の女性と牡丹(芙蓉)が描かれている。奇妙。
単なる中国製の山水楼閣皿がイギリスへわたって物語が付加され、今度は付加された物語が絵皿の図様に影響したのではないかと勝手に推測。裏返すと、ダブルフェニックスのNIKKOマーク。日本製。横に貼られた値札は煙草約2箱分。骨董趣味はないけれど、購入。

帰宅後、「何に使うのよ!こんな大きな皿(長径40cm)。」と小言を賜ったが、教材ですよ、教材。
気になる物語はこちら

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杓子定規

2012-02-10

学内某所で、返品(要修正)のシラバスの山を見る。

部外者の方に説明しておくと、シラバスとは春学期・秋学期の授業計画書である。例えば「卒業演習(秋)」というのは、「立派な卒論を書かせ(卒業させ)るための演習」としてはいけない。
9月下旬の第1回「骨子の構想・作成」に始まって第13回「卒論提出前の最終確認」…と計15回分の各内容を記さないといけない。

「卒論提出は1月上旬。14回目と15回目はどうするんですか?」とのご下問あり。
「『口頭試問対策(1)』・『口頭試問対策(2)』でうめる。学生が来るかどうかは別問題ですが・・・」。

大昔は「今年は昨年に引き続いて(!)、鎌倉時代の絵巻物を扱う。」と1行のシラバスで、それでも履修して、毎回どんな作品が俎上にあがるのかワクワクモノだったが(往々にして出席が私一人の時もあり)。教員・学生、お互いのんびりした時代だった・・・。

世の中がだんだん「臨機応変」「現場対応」を許さない杓子定規の社会へと。

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40年前

2012-02-12

夜、帰宅すると、家人がTVを視聴。
なんでも朝の番組(料理)に登場する若手男優がシルクロードを鉄道で旅するというものである。
缶ビールを開けながら こんな風景 を見る。
「なんで、シルクロードなん?」と聞くと、「日中国交正常化40年記念」だとのこと。

1972年。
当方、小学校5年生。「少し昔の記憶」といった感じ(家人は「記憶にない」と言い張りますが)。皆さんはいかがお過ごしでしたか。

グアムで日本兵横井庄一さんが発見され、札幌オリンピックが開催し、秋にはミュンヘンオリンピックも(テロもありました)。沖縄が本土に復帰し、あさま山荘事件ではTVにくぎ付け。千日デパート火災や北陸トンネル列車火災も。川端康成の自殺もあり、アメリカではウォーターゲート事件が起こり、「新聞記者は出ていけ」と佐藤栄作首相退陣。まだベトナム戦争は継続中。
そうそう高松塚古墳の壁画発見も。
大学進学率は3割ほどで、いわゆる「団塊の世代」末期。

「『高松塚古墳』や『シルクロード』で今の学生を引き付けるのは無理」といった声もある。そう思うと、キャスト、間違っていないか。西安~ウルムチの鉄道は厳しいだろうが、ここは“湯けむり旅番組”の常連俳優やタレントではないのだろうか。

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会議にて

2012-02-14

恒例の会議。
昨日より口頭試問(卒論)が始まっている専修もあり明日からは本格化(こちらも)。論文の束をもって出席される先生もちらほら。

例年ならこちらも“内職組”のひとりだが、そうもいかず、議事進行を見守るばかり。
議事を聞きながら手元の書類を留めたクリップを触ってもてあそんでいると、今日にふさわしく・・・。

会議終了。既に試問教室にあたる個人研究室には「試問場」の貼紙。部屋にもどって再び論文へ。
この時期は1年のうちでもっとも多忙を極める。

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口頭試問

2012-02-15

昨年から2日間。10時から開始。
今日は14本、明日は11本。哲・宗・美の合同での試問だが、自専修が多いと他専修の分は少ない。哲・宗の副査はそれぞれ1本のみ。

一昨年だと、この試問で「卒業パーティ」の周知案内が学生間で回るのだが、どうやら今年は3専修合同ではなく、専修、ゼミ単位のようである。また「卒業証書授与式」も各専修単位との由。どうやら昨年、(遅いとの)クレームが来たらしい。2年生の合同合宿も微妙な状況。

教員間、専修間の壁を低くしたのはいいけれど、むしろ学生は高い壁を作りたい様子。
「そういう主張を言うなら、○○なことも学ばないと、そういうことは言えないはずでしょう。」などと喋りながら、高い壁を(勝手に)設けるのはいかがなものかと。視野狭窄。

終了は18時。終わってみれば、「お呼び出し」3名。事前に察知したのか、昼休み中に「火災警報」(誤報)も鳴る始末・・・。

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熱(意)

2012-02-16

引き続き口頭試問。今日は10:40から。やや微熱あり。

どのようにすれば、よい卒論が書けるのか。
1年生の時に初めて書いたレポートのように“パクッて”くればよいのである。ただし内容ではなく書式や思考経緯の形を。

毎年、各専修で最高点を得た卒業論文(「優秀者表彰」)に輝いた(学生には秀~不可しか成績表には出ないが、われわれは100~0点までの素点で評価)を集めた論文集が各合同研究室や卒論ラボに常置してある。閲覧(複写、持ち出し厳禁)できるので、それをみながらアレンジ、適応していくということも。

休憩時間にぱらぱらと見ながら、これから試問する論文と比べてみたり。でも最終的には「取り組む意欲」が重要。テキトーにしたものはやはり「熱」が感じられない。

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ピカ一

2012-02-17

今日は大学院(修士)の口頭試問(副査)。
毎年のように気が重い口頭試問だが、今年は秀逸な論文があった。

先行研究、作品、文献史料がうまくかみ合っており清々しい読後感。こういうのは 初めて 久しぶり。
指導教官は厳しくおっしゃるが、秀逸であることに間違いなく、(業界の)誰も考えていなかった見解。史料に裏付けられた説得力もあって、質疑応答もまるで学会発表のよう。

(学部生にくらべ)歳を食った分、時には孫引き、ひ孫引きのオンパレードで、確認していない史料にも関わらず「見た」とシラを切る輩もいる。こちらが専門外とみて知らないとでも思っているのか!と怒りに震える時もある。ダメな者はどこまで行っても駄目である。

心のなかで大絶賛しながら、つまらぬ質問をいくつか。あの「琴棋書画図」に着目するとは、センスもなかなかのもの。

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クリスト

2012-02-18

昨夜来から未明にかけて北摂・京都は雪。終日(9:30~18:00)、大学院入試。

2月入試が終わってすぐ、2号館、3号館、研究棟に足場が組まれ、覆いがなされている。まるで“包む美術作家”クリストの作品をみるよう。

これらの建物は村野藤吾のもの。以前に耐震工事を済ませたが、さすがに築40年を過ぎてタイルが壁面から剥離・落下する恐れも出てきた。事故が起こってからでは遅い。
そこで各壁面を打診して剥離の可能性を検査するためにクリスト風になった次第。
大がかりな(大型クレーンも導入)工事で日ごとに包まれていく学舎を見ながら、ついクリストのことを思う。

この仮設足場のようにクリストの作品は、人々の記憶や記録写真などが残り、作品自体が恒久展示できる性質のものではない。プロジェクトの完成予想図(ドローイング)やコラージュなどがクリストの作品として残るだけである。果たして、それが芸術であるのかとも思う。

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企画展の知恵

2012-02-19

2月に入って初めてのオフ。机のカレンダーもまだ1月のまま。日付が青かろうと赤かろうとまったく関係なく、手帳に記された毎日の予定をこなすのに精いっぱい・・・。

午後、花園ラグビー場横にある東大阪市民美術センター「生誕120年記念 大分県立芸術会館所蔵 福田平八郎展-下絵と本画-」へ。

下絵や素描は制作過程、本画への作家の思考プロセスがうかがえ、時には本作品以上に雄弁に物語る。
《雨(下絵)》。本画にみられる、降り始めてすぐのにわか雨の雨粒が黒瓦の中に吸い込まれる様はまだ描かれず、下絵では黒瓦の構成が重視。その隣には《漣(下絵)》。本画よりも群青の濃淡の差がみられ、波の線も全体に短い。各波線には薄墨か鉛筆状のもので縦線が引かれているが、あれは何だろうか。
初期作品の《緬羊》や《安石榴《水》(下絵とも)《鮎》《新雪》など代表的作品も含む本画、下絵、写生帳、手紙、六潮会資料など盛りだくさんの展示。

図録を買い帰途眺めていると、見ていない作品が多数収録。見残した作品などないはずだが・・・、と不審がって表紙を改めて見ると「没30年 福田平八郎展」。奥付は2003年暮からの小田急百貨店新宿店。どうりで受付の人が「(図録を)買うのか?」という怪訝な顔をしたはずだ。

帰ってから調べると、現在、大分県立芸術会館は空調工事で休館中。そこで作品を借用し、図録は既存のものを“再利用”。予算がないなか、よく考えついた企画展と感心する。
何が何でも、名品を漁りオリジナルの図録を出す「企画展」よりも、最小限の予算(運送費、キャプション、チラシなど)でもよい展覧会ができるのだと。予算が少ないので企画展をやめるのは容易いが、こうした“知恵”でしのぐ能力も、今は必要である。
決して悪い印象を持たなかったのは、そうした努力や知恵がみえたからだろう。

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NEVER GIVE UP !

2012-02-20

定例の会議が終わって出てみると、『大坂図屏風』の前には入試要項や願書、過去問題集が山積みに。

明日は「後期入試対策講座」である。内外の講師が出願ポイントや英語、国語などの入試対策講座を大学で行うというもの。
“大人向き”に話せば、大学も座して学生を呼ぶ時代ではなくなった。阪急電車内にも大きな関大の吊り広告が掲出。

願書(右端)が山積みになっているのは事情がある。2月入試(関大)で涙をのんだ受験生は写真と受験料(ここが大事!)を持参すれば、明日、即日出願できる(調査書は免除)。「関西大学は最後までがんばるあなたを応援します!」とのメッセージもまんざら嘘ではない。

文系の試験は3月3日。
こちらでは、入学式後の具体的スケジュールは既に済み、来年度の諸々のことなど。

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粉彩、粉砕

2012-02-21

深夜、帰宅すると、娘がYoutubeを熟視。のぞき見るとBTV(北京テレビ)の画面。ん?
帰ってきたこちらに気付いたようで、にこにこしながら片方のイヤホンを差し出す。イヤホンを左右に分けて画面を見る。

北京テレビ『天下收藏』。日本の「何でも鑑定団」を模した番組である。“お宝”を持ち込んだ視聴者(出品者)と司会、タレントが真贋(「真」と「假」)をめぐってトークした後、鑑定人が判断を下すもの。

日本では売買価格によって真贋が明らかにされるが、中国版は過激。
結果を知らされた司会の前に未敷(つぼみ)蓮華状の金属棒がうやうやしく登場。「假的」(贋作)と判断されると、司会者は金属棒で“お宝”を出品者の目の前で叩き割る。出品される“お宝”は陶磁器が多く、贋作は「現代■品」と判断。(■:にんべんに「方」)
清朝(乾隆)とされる粉彩双耳瓶もあえなく粉砕の憂き目。 件の番組は こちら

価値も知らず、値段も言い値で騙されるのは仕方ないが〔かなり高額だが、真作がそんな(安い)値段であるわけないやろとも〕、爺さんが中国土産として買ったものが、世代が変わってモノに関心のない(カネに関心がある)息子や孫の前に出てくると“お宝”に変じることもある。

見終わった後、お互い、「(日本でも)いっぺん、パカ~ンとやってみたいな。」
しかし、わが娘ながら、なんでそんな番組を知っているんだ?

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感謝

2012-02-22

会議ディ。
案件山盛りの後、大学院の入口と出口の査定、引き続き学位審査会。課程・論文併せて30本。
各主査(指導教員)が個別に説明。説明がひとり2分でも1時間。間に司会による議事進行が入るのでほぼ倍。むぅ・・・と事前打ち合わせでも危惧されたところ。

審査会直前に会議の手元資料を事前に処理したので、手持ち無沙汰。時計を眺めつつ・・・。
誰もが簡潔にと思っているので、最初は1分15秒前後で説明終了。なかには50秒台で終わりという先生も。ところが中盤にかけて2分を過ぎる説明もちらほら。こちらはドキドキ・・・。
ついに4分56秒というタイム・レコード(後半でも3分30秒)。ぶっちぎり。
過日むぅ・・・と危惧された方も2分10秒と第5位に。

平均1分27秒。議事の円滑運営、ご協力ありがとうございました。

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共同通信社

2012-02-23

昨夕、広報課を介して共同通信社から取材依頼(『トリビアの泉』ではなかったのか・・・と内輪ネタ)があり、本日対応。マスコミ嫌いだが、ここだけは粗相があってはいけない・・・。

共同通信社は毎日新聞を除く全国紙と全国各地の地方紙、主要TV・ラジオ局へ記事を配信。記事の採否はあるものの、話題となれば、たちまち全国津々浦々に知れわたる。ゆめゆめ暴言などを吐いては“炎上”必至。「もらっといてやる」など、言語道断。

かつて取材を受けたあと出張にでかけ、泊まったビジネスホテルで「今朝の新聞に出てましたね。」とチェックアウトの時にフロントから突然笑顔で言われたこともある。驚いて仔細を尋ねると、朝、部屋の前に置かれていた朝刊(地方紙)に、こちらのコメントが掲載されていたとの由。
恐るべし共同通信社(の配信記事)である。

ややこしい話題ではなく、記者も地道な取材を続けているようで、こちらも熱意にほだされ「その話題ならこんな資料もあります」とも。

終始、友好的ムードで「また(研究室に)お伺いしてゆっくりとお話を聞かせて下さい」と記者氏。
「はい、またメールかお電話でも」と私。「えっ!」という調子がずれた声。
だって、まだ これ が解消していないもの。来るには及ばず。

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美術全集

2012-02-24

小春日和。会議(代理出席)ひとつ。

午後、『世界美術全集』(36巻 平凡社 1927~30年)を運び込む。知り合いから『大和の古寺』をもらった際に、「これも役立つなら・・・」と頂いた“付録”。
古本屋でも引き取ってもらえなかったとの由。

100年ほど前の日本初の美術全集である。その意義については詳しい報告があるが、別の角度からいくつか興味深いことがうかがえる。

ひとつは世界の美術を完全に時代で区切った巻立ての構成。例えば25巻は「ルイ王朝(3)・乾隆期(上)・緬甸及琉球・徳川(元文・寶暦)時代」とある。従って東西の美術作品が同時に収録。また現在ではあまり言及されない緬甸(ビルマ)や琉球の美術にも配慮(「緬甸及琉球」という項目も不思議)。
フランシス・ゴヤと紅型と池大雅が1冊に同居。

もうひとつは取上げられた作品。1927年だから、「現代美術」といってもブランクーシやピカソの初期作品が「最先端」で、デュシャンなどは登場していないが、この間100年で人びとの記憶や研究対象から消えてしまった作品も散見できる。これは古い時代でも同じである。新たな発見があるいっぽういつの間にか消えうせた作品もあり、ここから100年間の評価の変異を読み取ることも可能。

喜んで眺めているのはいいが、紙カバーは破れる、茶色に変色した外箱は粉になって服に付着するなど、なかなかの難物。

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百日法華

2012-02-26

近松門左衛門『心中重井筒』。宝永4年(1707)、大坂竹本座初演とされる。
大坂万年町の紺屋の婿養子徳兵衛が六軒町の色茶屋重井筒屋の遊女お房と深い仲になり色々とあった末に心中。

ところが、心中を決意するあたりから気にかかる。
「屋根伝ひに裏へ抜け樽屋町の門へ下り、宗門なれば日親様の御門で死なせて下さんせ」とお房。「樽屋町の門へ下」った「日親様の御門」は正法寺(日蓮宗)である。しかし続けて
ヤア和女(そなた)は法華われは浄土。願ふ所が別なれば先の行端もおぼつかなし、宗旨を変へていつしよに行かん、今題目を授けてたも。
と徳兵衛。信仰よりも情愛かと思っていたら、実は「日親様の御門」がキーワード。

『女殺油地獄』に「疱瘡した時、日親様へ願かけ、代々の念仏捨て、百日法華に成る・・・」とあって、困った時の一時的改宗である。クリスマスを考えれば、今も昔もおなじということか。

でも、なんで「命の捨場ぞと大仏殿の勧進所」(下巻)と、わざわざ勧進所で心中するんやろ。

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○○に真珠というべきか・・・

2012-02-27

サントリー美術館で「大阪市立東洋陶磁美術館」の優品展。東洋陶磁美術館が空調・照明工事で休館であるための“出開帳”。
好評との由。賢明なり。もし、私が担当でもなら、大阪などハナから相手にしない・・・。

閑話休題。
安宅コレクションは東洋陶磁器で有名だが、焼物以外にもコレクションがあって、なかには108点に及ぶ速水御舟の作品も。
東洋陶磁は一括なので売却できず住友から大阪市へ寄贈されたが、速水御舟の作品はすぐさま東京・山種美術館が買収。その額20億とも。昭和51年の話である。
今、御舟の作品が市場に出れば、どんなに小さい作品であっても「億」はする。つくづく、モノの価値が理解できない風土は「イトマン事件」の無知蒙昧ぶりをみても明白。

「常識がない。担当でない場合でも、議員の力を借りて詰問してくる。特に若い議員の社会人としてのマナーを再教育すべきだ」と非難された政党の予備軍(「維新政治塾」)として2262人。そのうちに選挙カーではなく街宣車で走り回ることだろう。
Osaka is a Yakuza city の看板は消えそうにもない。

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淡路駅

2012-02-28

天六からの阪急電車が淀川を越えたあたりから周辺の景色は一変。淡路駅の周辺で高架工事が進行中。
(画像をクリックすると拡大図)

淡路駅も2階が改札、3階が京都河原町・北千里、4階が天六・梅田行きのホームと複雑な構造。もちろん1階部分は駅前商店街が入居と予想。高架は2018年頃から供用され、事業完了は2020年度と長丁場。ところで下新庄の手前には新幹線の高架があり、阪急千里線の高架はそれを越えていくのだろうか。

千里山も大改造中。年度末ではないが、身近なところで工事がやたらと多し。

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不毛な議論

2012-02-29

過日より頭の痛い議論が起こる。

譬えとしてよろしくないが、頭髪にあって「薄い」と「ハゲ」の境目はどこにあるのかというような内容。
普通の状態から ある程度 密度が少なくなると「薄い」と判断され、不毛地帯が目立つと「ハゲ」・・・というのが常識的なライン。
では、どこで「線引き」をするのかは、そもそも議論の話題にならない。「薄い状態」から100本の毛髪が抜けると「ハゲ」と決めても、では95本では「ハゲ」ではないのかといえばそうではないはず。不毛地帯の面積率でも同じこと。「磯野波平」が「他人よりちょっと薄い」と言えば、それ以上、周りは何も言えない・・・。

そんな「線引き」であれこれ議論するよりも、本人に「ハゲ」と指摘してやるか、あるいは鏡でじっくりと見させるほうが有益だと思うのだが。

不毛な議論がしばらく続く模様。

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