日々雑記


ロン!

2018-3-1

中日新聞2月25日の記事

過日にみた京都国立博物館蔵「本朝大仏師正統系図幷末流」。
これまでの検討から、蔵之丞、竹内右門が曹洞宗関係の造像・修理に携わっていることから、同系図が曹洞宗関係造像の「支証」になっていたのではないかと、とある論文に書いた。
そうすると、京博本系図の七条仏師以降にみえる「了無」もその可能性が高いと思っていたが、実例を知らずに困っていたところ、中日新聞の記事で「貞享四丁卯歳極月吉日」「京綾小路 曹洞大仏師法橋了無」とあって、ロン!

加えて信濃という土地がら、ひょっとして大きな役が来たような・・・。

春先から、よい知らせである。Good Job、中日新聞。

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お猫様様

2018-3-3

今年も雛人形を出すことを断念。一番の問題はこやつ。

10か月になろうとするが、早やこの貫禄。
好奇心旺盛で雛人形などを出していると、あっという間に噛んでボロボロになること必定。

夜中まで起きており、我が家では私に次いで仏像の写真を見ているはず。仕事ぶりを監視されているようでこちらも落ち着かない。時折、裳先の部材など見せると、(鰹節にみえるのか)必ずディスプレイをひっかいていく。

ただしビビり者。近傍の自衛隊駐屯地からのヘリの音が聞こえると、すぐさま机の下に入って丸くなっている。
俺の机は防空壕か。

我が家はしばらくお猫様様。

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現場

2018-3-05~06

調査で再訪。
最初に来た時は、さすがに雪はなかったものの氷点下。気が付けば春。

ちらほら、お参りの方の姿も。
時折、不思議そうに覗きこんだり、あらっと声をあげる人も。
そらそうである。礼拝しようと思って賽銭を上げ、手を合わそうと顔をあげた途端、もぬけのからになった厨子が現れる。訝っていると、堂内隅には横たわった仏像。 不思議そうに「見てもいいですか」と問われ、快諾。

お昼前が意外に勝負時。
仏像を横たえたままお昼に出かけるわけにはいかずひと段落するまで調査を続けるが、無理な場合は隅に寄せて薄葉紙で覆うなどする。参拝の方がある程度多いと交替に食事に出る。ひとりだともちろんお昼抜きで調査続行。
個人的にはずっと調査続行といいたいところだが、まさに現場ゆえ「お昼」は大事。

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定年

2018-3-09

年度最後の会議。

書類を眺めていると、見覚えのある人の氏名。来年度非常勤で来ていただく先生がた。
大半はこの春に地方公共団体を退職。

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ゴッホ

2018-3-10

午後からミニ講義とプレスチューデントプログラム。

受講生は幼稚園から今日まで「美術」といえば実技オンリーで、見る、学ぶということを経験したことはない。
何をどう見ればよいのか、学んでよいのか全く分からない。そのことについて学生を責めることはできないが、知らないということが当たり前と思っては困る。そんなことを思いながら、久しぶりに教壇に立ち50分の講義、その後プログラム。
ゴッホ展の感想(発表)。なぜゴッホは浮世絵なのかと問うてはみたものの、首を横に振られる始末。
「まだまだ高校生やから泣かしたらアカンで」と自宅を出る前に家人からきつく釘を刺さたことを思いだし、「まぁ、大学に入ったら勉強してください。」と。

個々の学生が提出した要旨を人数分コピーする際に、個別にコピーしてしまい右往左往。

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老眼

2018-3-12

調査。

さほど大きくない仏像。形状・構造は理解したものの、衲衣・褊衫に施された細い細い截金線が織りなす文様に四苦八苦。
観察しつつ雷文繋ぎ、立涌、卍繋ぎ、蓮華唐草、四菱入り七宝繋ぎ等々、頭の片隅にあった文様用語を必死に思い出す。こんなことなら『日本の美術 截金と彩色』を持参すればよかったと後悔。

着衣の表(地)・裏(地)もあって泣きそうになりながら写真撮影・スケッチしながら(帰宅後に調べる)文様の記述。細い截金文様を前に眼鏡を外したり、かけたりで調査は遅遅として進まなかった。
老眼泣かせの仏像。

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梅木の棗

2018-3-14

快晴。ようやく春。

先日、木彫刻を扱う方と話をしながらストックされている木材を拝見。チョークで「楓」「ヒノキ」などと書かれている。
製材された「梅」木が出されて談笑。段々と色が濃くなるんですよと。ノミを持ち出され少し削ると、確かにやや薄い木肌。
「この木から『棗』を作ったらいい感じの作品が・・・」と仰るので、「製作されてはいかが」と薦めると、「木挽きしないんで」と返答。

以来、梅の木を見ると、「この太さなら“棗”が何個できるか・・・」などと花を見ずして幹ばかり見ている。
カヤ材は将棋盤がいくつ出来るかで、カヤ材の値が決まるという。
仏像の用材も将棋の駒と同じで、多くは端材扱い。

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残念

2018-3-15~16

東北某県へ調査。こちらは春までまだ少し。

江戸時代の仏像ですよねと阿弥陀如来坐像を拝見。確かにお顔は江戸時代、でも体躯は堂々たるもので「江戸ではないようですね」。
寸法や写真を撮り、少し傷んでいるので、所蔵者らに手伝ってもらい像底を撮影。えっ~!
撮影したばかりの写真を見ながら像底を浅く刳っており、細かな材が寄せてある。南北朝か鎌倉時代後半まで遡る仏像。
「指定になりますか?」と一同色めき立つが、それはちょっと難しいと。頭部前面材全て、躰部の至るところが江戸時代に補っており贔屓目にみても難しい。さすがの私も残念に思う。

なんでも江戸から持ってきたといわれているそうで、その後は「お顔はどこで直されたのでしょうか?」などと質問。
古い仏像を売買してはならぬという御触もあったような・・・。

翌日は案内されて近郊の寺院の仏像を拝見。
色々と近世の仏像を見せてもらったが、口には出さなかったが、どうも東北の日本海側とは様相が異なる。京都出来の近世仏像が少ないように思ったり。

夕刻、帰阪の途に。もちろん深夜に帰宅。

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変換ケーブル

2018-3-17

明日、徳島の某寺でお話をするので、色々準備。
配布資料もコピーした、調子の悪い小型PCに替えて末娘のパソコンを借り、パスワードも教えてもらった。準備万端。

プロジェクターに繋ごうとして娘のパソコンに15pinがないことに気づく。
どういうこっちゃ。
さっそく、パソコンに詳しい上娘に問合せると、パソコンにHDMI端子が付いているか?付いていたらHDMI⇔15pin変換ケーブル、無けりゃ、USB⇔15pin変換ケーブルを買えとのこと。側面をみれば使ったことのない端子(HDMI端子)。あった・・・。

夕刻、雑踏の難波に行き変換ケーブル購入。帰宅後、試しに投影すると映った・・・。
持つべきものはパソ通の娘也。

大学のパソコンは全部付いているが、あれは旧型なんだろうか。

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講演

2018-3-18

朝から徳島へ向かう。

彼岸供養祭の法要に参席。檀家関係の物故者の氏名を読み上げられ、その後御詠歌等々。
小1時間の法要が終り、調査結果の講演。

寺号の初見は『阿波志』に慶安年間創建とあって、仏像のほとんどは近世。古い仏像は薬師如来像のみ。
パワーポイントを作りながら、同じ集落内に廃某寺の薬師堂があることに気づく。(元の安置場所は)ここか?など思うが何も確証はない。
50分ほどお話をして、仏像を見ていただき質問などに答えて終了。

その後、郷土史家から廃某寺を含む集落の歴史と薬師如来像の制作時期とが符合すると、ご教示いただく。もちろん薬師如来像が廃某寺の薬師堂に安置されていたことも。

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稙髪太子

2018-3-23

某市文化財審議会へ。

本日は登録有形文化財に指定された建造物の見学付。
キリスト教会のような、地方にみられる初期議会堂を縦長にしたような仏教系建造物。

本尊かわりに稙髪の聖徳太子孝養像。布製の衣まで着けている・・・ひょっとして裸形?
「鎌倉時代」の鑑定書があるというが、もう少し下ると思う。でも目元が雪蹊寺・善膩師童子像と似ている・・・。
今日は見学だけということで済んだが、どうもそれでは済まされない状況。

近代建築見学もそっちのけで色々と考える。

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忙しい時に限って(その1)

2018-3-24

広報課から依頼があり、TV大阪からのコメント依頼があるというので、電話対応。 今回は藤田美術館の中国コレクションの売却について。
「経営戦略としては大成功したと思います。中国美術が高止まりしている今、売却したのは。」と。
美術館が作品を売却するのは許せん!と息巻く人もいるが、世の中、そんなに甘くない。
古色蒼然たる蔵で国宝や重文を拝見するのもなかなかよい雰囲気だが、老朽化は否めない。財団の資産も低金利で運用もままならない。 耐震や温・湿度空調など今後のことを考えると苦渋の決断だったとも。

そもそも春や秋に藤田美術館を行ったことのある人がどれほどいるのか、まして「尊」や陳容「六龍図巻」に関心のある人がどれほどいるのか疑問・・・。
話がひと段落したので安堵していると、「月曜日、(大学へ)取材に行ってよいか?」と申し出。
固く固辞したが、やむなく承諾。明日は部屋の大掃除か。仕事たまっているのに。

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大学も春

2018-3-25

お昼前に大学に着き、さっさと掃除をはじめて見栄えよく本を並べて、さて仕事続行と、カバンのなかにUSBが入っていない・・・。
自宅に連絡すると自宅のパソコンに挿したまま。
あぁ~、もうなにやってんねん。

桜もそろそろ本番。入学式の頃は満開になるだろう。

気をとりなおしてドラフトで原稿を書くも、”見栄えよく”本を並び替えたので「あの本はどこやった~?」と本捜し、論文捜しに陥ることしばし。
もう帰ろ。

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諸事多忙

2018-3-26

午前中、某所で打合せがあり、そのまま大学へ。

仕事が佳境に入った頃、TV大阪の取材クルー到着。
過日、電話で話した内容を再現。雑談も含めて1時間ほど。

TV大阪と藤田美術館は大坂城の反対側にあるのだが、おそらく取材するまで行ったことがないご様子。
「絶対に言ったらアカンで!」と家人に釘をさされた台詞「たこ焼きやお好み焼き食べて、吉本見れれば、それで満足なんでしょう、大阪の人は」
が、喉元まで出かかったが、飲み込んだ。

放送は28日(水)夕刻、「ニュースリアル」。
その後、ふたたび仕事続行。

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忙しい時に限って(その2)

2018-3-27

連日、夜遅くまで仕事。
午後に電話があり、寺の仏像を見てほしいとのこと。快諾したが、長崎である。
何時頃がよろしいでしょうかと問うと、4月8日(仏誕会)までにとのご希望。はぁ。

大学の先生は春休みというのが世評だが、実際、そんなことはあり得ない。
年度末に仕事を溜めこんだこちらが悪いのだが、もう徹夜覚悟。

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年度末

2018-3-30

明日は年度末ながら、土曜日。官公庁はお休みである。
気づいたのが遅かったので、当然のように昨夜は徹夜。朝方になってようやく完成、見直した後にPDFで送信。本書は後日である。

年々、気力も体力、知力も衰え気味だが、年度末は慌ただしくなるばかり。いったい、大学で朝を迎えるのは何度目のことか。
その後、お寺さんから頼まれていた簡易パンフレット作成。こちらもPDFで送信。

夕刻には、知己の職員氏から退職のご挨拶。
長い間、本当にお疲れ様でした。ゆっくりと心と体を休めて、またご活躍ください。

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