日々雑記


多事変化

2019-4-1

今日から4月。大学も入学式。
各所で異動や組織改編のご連絡。

なかでも驚いたのが、奈良県教育委員会文化財保存課・文化財保存事務所から奈良県地域振興部文化財保存課・文化財保存事務所に。
すでに文化資源活用課が地域振興部にあるので、文化財の一元化ということだろう。

新元号は「令和」とのこと。
昭和→平成の時は土曜日だったので、午後、残業して月曜日からしばらく使う帳票に二重線を引いて「平成」をひたすら書いていた。

今回の元号は5月からなので、判子屋さんが超多忙。

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大学院ガイダンス

2019-4-2

大学院入学式と引き続いてガイダンス。基本は誘導係と履修相談。

昨夜から、ある件で書類作成。
例によって何をどうするのかがまったく理解でない。送られてきた書類すべてではなさそうだが、何が必要で不要なのか個人レベルでは見当もつかない。

最近では理解することを諦め、取敢えず作成して担当部局へ送る。
そうすれば、「あの書類が未提出です。これは間違っています。」などと指示が来るだろう。(該当しない)不要な書類はそちらで処分か返却される。まずは作成。
なぜ未だに理解できないのか、ちっともわからない。

夜半過ぎに関連書類送付のために年度末に引き続き大阪中央郵便局へ。

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「令和」

2019-4-3

「令和」の外信。
「『令』は主に「命令(Command・Order)」とは、外交としてはあまりにお粗末。

「令嬢」「令息」などの日本語があるだろうに。
先方の「トンデモない不良娘」に対しても「ご令嬢」と呼ぶのは、「ちょっとはお嬢さまになれよ」という意味では決してないはず。

そもそも万葉集の序文から引用したことを示しながら「于時初春令月氣淑風和梅披鏡前之粉蘭薫珮後之香」を示さないとは、外信も間違うよなと思ったり。

英単語1つでも複数の意味があるのに、外国人記者の誰も「ドウイウイミデスカ?」と尋ねなかったのも不思議。

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授業開始

2019-4-5

今日から授業開始。

初回はたいてい授業計画の説明と成績評価の確認などのガイダンスで終わる。
30分もあれば十分説明できる内容。
ただ新入生(1回生)向けの科目は要注意。

以前、某学部の某先生が一般教養でこれをやった。
すると、翌日保護者から大学に電凸があって「○○先生の授業は40分で終わった。(規定の)90分の授業をしないのはおかしい!」と猛抗議。

役割上、事情を尋ねるといきさつを報告された後、「2回目からは90分授業を行いましたよ。でもね、その学生は2回目以降は授業に来ないんです。学生の方が問題といえば問題じゃないですか。」と。
ごもっとも。
保護者は後日のPTAでも不満を述べたそうだが。

2~4回生の授業ながら80分近いガイダンス+ミニ講義。
急発進、急加速は禁物。

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通勤風景

2019-4-7

午前中、選挙に行く。こちらは府知事選のみ。

通勤途上、まだまだ屋根にブルーシートが載る家屋を数多く見かける。昨秋の台風の被害である。
万博&カジノとか大阪発展と主張している地域政党があるが、理解できない。
まあ、党首(府知事)が台風の時には沖縄の県知事選の応援に行っていたので他人事なんだろうけれど、災害への対応能力、危機管理が皆無。

午後ようやく台風で紙破り状態の隣家とのパーテーションが修復。

夜には、投票結果判明。しばらく通勤風景は変わらないようである。

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同志

2019-4-8

大学院の初授業。研究計画等をひとしきり相談。

授業前に京博「国宝一遍聖絵と時宗の名宝」展に行って来たとの由。出品リストをみせてもらう。
金光寺本仏師系図は寛延3年、京博本仏師系図は竹内孝吉氏寄贈。
5代目と称する竹内右門の本名。
そこから「竹内右門は・・・」とまた別の話題が展開。

志同じくすると、あれこれ話題は尽きない。

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取材

2019-4-9

午後、朝日新聞社の記者来室、取材。

連絡があった時、誰からの紹介だろうかと訝った。
取材内容は以前に学内で発表した内容と大きく重なる。発表の時は全くと言ってよいほど無反応。

冒頭、恐る恐る尋ねると、某さんだと言う。
あ、そうか。発表の前に聞きたいことがあって連絡したことを思い出す。
記者はうちの文学部の卒業生(少し下の後輩)。意気投合してあれこれ2時間ほど、取材対応。

記者が帰った後、紹介してくれた某氏に御礼のメール。

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大学院テキスト

2019-4-10

会議。今年もひとつ増えたお役目。

大学院テキスト(1)の作成を一応終えたのが、約1ヶ月前。
3月末に念校として読み直すと、あちらこちらで誤植、同じ内容の似た記述や図版がない、頁数の重複など、いくつも修正の必要。

初回の授業で渡すことができず、もう1週間待ってもらい大急ぎで修正作業。
修正したがまた新たな重複が発生。

まどろっこしく、すべてプリントアウトして一から読み通すことに。

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異変

2019-4-11

一般教養初講義。

いつもは春学期50~70名程度、秋学期150名の授業ながら、今年は共に100名超。
秋学期はともかく、春学期の大台はなんで?と訝る。

昨今、うちのトレンドになっている「グローバルコミュニケーション」とは相反する状況じゃないか。 「たこ焼き、みそ汁、納豆」の話題だけではグローバルコミュニケーションにならないと気付いた? 大学は、あいも変わらずPRに励んでいるので、まずそんなことはないはず。

ひとつ思ったのは、“就活ルール廃止”に対する意識の変化。
もうインターンシップは必須で、海外に行くにしろ“留学”だけでなく海外インターンシップという選択肢もある。 3年の夏にインターンシップと実習がある科目が重なり、科目履修を諦めた学生もいる。
“留学”して就活に乗り遅れたらそれこそたいへんだということなのかも知れない。東京五輪後には、不況期に入るとの噂もある。通年採用もできるそうだが、春一括採用とでは、やはり見劣りは免れない。

意外に学生は醒めた目で大学を見ているかもしれない。
逆に言えば、改革、改編と叫んでいる大学の動き自体が、十年一日のごとく鈍牛の歩みであることの証なのかも知れない。

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カエルのスケール

2019-4-12

こちら(リレー講義・1年生対象)も通常は10~20名の受講者数が50名超。

講義を始めながら、朝、電車でみた中之島香雪美術館「明恵の夢と高山寺」展のポスターが気になる。

タイトルに動物が散らされたポスター。リスは〈明恵上人樹上座禅像〉、ウサギは〈鳥獣戯画〉の的申し役のそばにいるウサギ。
右は葉っぱの帽子を被ったカエル。
カエルは・・・むぅ。

思い出すことなく授業に向かう。悔しいが、授業終了後に確認すると「丙巻」の山車を引く場面に登場するカエル。
次回に紹介するのは、やや躊躇。「カエルとサルとウシのスケールがまったくおかしい絵です」って絶対コメントがくるので。「日本最古のマンガ」じゃないか。

「じゃ、君は『ケロロ軍曹等身大フィギュア』はスケールがおかしいフィギュアだというのかね」。

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テキスト修正

2019-4-14

昨日、今日と大学にてテキストの修正。

註記もかなり抜けている。当たり前のように書いた内容も読み直すと、典拠、根拠は何だという箇所も現れる。

記憶を辿りながら、「あれか!」とおぼろげながら文献(古文書・書籍・雑誌)名を想起、図書館で現物確認して該当項を見つけ出して典拠を示す。該当項が見当たらないときは、そこから再び記憶を辿り・・・とちっとも修正が進まない。

図書館へたびたび出向く。

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燕子花図小屏風

2019-4-15

昨日気づいたのだが、図書館では「令和」にちなんだミニ展示(~4/24)。

廣瀨文庫『萬葉集』(非仙覚本)と須磨對水〈燕子花図小屏風〉。『萬葉集』は「于時初春令月氣淑風…」の丁(頁)が開かれている。
『萬葉集』の左右には須磨對水〈燕子花図小屏風〉。
なんかでみたことあるような…。

帰途、おぼろげな記憶を辿ると、2014年4月のヤフオクで出品していたもの。出品者は素人らしく「燕子花図〈須磨耐水〉小屏風一双」と。

撮影禁止だったので、昼にヤフオク画像をコピーして図書館で見比べてみると、ぴたり一致。

個人が落札されて図書館へ寄贈?
図書館がヤフオクに参加?
借用品?

作品そのものより入手経路が気になる。
(写真(上)は関大HP「トピックス」から借用)

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取材ダブル

2019-4-16

午前中に毎日新聞から電話取材。
龍谷大学ミュージアム「因幡薬師 平等寺展」での弘法大師像についてあれこれコメント。

電話を切ったあとしばらくして、過日の朝日新聞の記者氏からも電話で確認。
たて続けだったので、思わず「先ほどは有難うございました」記者「は?」
まちがい、まちがい・・・。

朝日新聞の記者は原稿を読み上げられて確認とのこと。

その後、仮原稿が毎日新聞の記者から送られ確認する。デスクの判断で削られることもあるのでご了承下さいとの由も。
ここは意味不明なんでビィーと赤(削除線)が入るのか。

卒論作成中の学生のような心境なのだろう、きっと。

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完成!

2019-4-17

夜遅くにようやくテキスト完成。B5版総頁数150頁+資料。
実力とはいえ、18世紀以降の七条仏師に関する記述は少ないが、仕方ないところか。
東梅田のキンコーズに行き製本依頼。
限定版2部(教員と院生)。

帰り際、コンビニで朝日新聞夕刊と缶ビールを購入、まずは静かな夜の扇町公園で祝杯。あれこれと思い返すことしばし。

終電近い地下鉄で朝日新聞を広げて掲載記事を確認。 久しぶりに終電で帰宅。

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無題

2019-4-18

出勤途上コンビニで毎日新聞を購入、 掲載記事 を見る。

仮原稿にあったコメントのうち後半4行ほどが削除。
まぁ、マニアックな話題だったので仕方ない。
東梅田で製本を受け取って大学。

大学で事務職員氏に会う。「センセ、新聞載ってましたね」と。
「『毎日』でしょ」「えっ~と、どこだったかな、「地震」の記事です。〈(大学HP)メディア一覧〉で見ました」。

授業を終えて夕刻に 〈メディア一覧〉をみると、昨日の朝日の紹介のみ(「朝日新聞 に記事掲載」って、朝日の連載なので朝日しかないでしょ)。毎日もあったが同日1面掲載の名誉教授の堺関係の記事のみ。こちらの記事はTV欄手前2頁目に掲載。

ちょっとムッとしたが、「龍谷大学ミュージアム」の特別展の紹介記事だったので、〈メディア一覧〉には載らないのかと合点。

カンダイ、器がちぃせいぞ!

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百聞は一見にしかず

2019-4-19

16日(現地15日)にノートルダム大聖堂が火災。

学内を移動中、女子学生の会話が聞こえる。「石って燃えるんやね」。(゚Д゚)ハァ?
その話題を夕刻の授業の枕にして、「あれは正面と外壁が石で造られているだけであって、内部はほとんどが木造建築ですよ。内部の梁が焼けていると、支えがなくなるので、崩壊するかもしれませんが・・・」と説明(正確かどうかは微妙)。

よく知られるのは、石造の聖堂正面なのでそう思うのかもしれない。
授業を終え、コメントカードを見ると「ボクもそう思ってました。」と。

日頃の発言とは矛盾するかも知れないが、まずは米国でも欧州でも実際に行って見るべし。百聞は一見にしかずである。

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山形

2019-4-20

JAL2235で山形。
拙宅を出る際に「島根の次は山形ですか」と言われる。

午後に山形空港到着、某寺へ。
山形は桜満開、今が見頃である。
月山はまだ冠雪、朝日連峰も少ないが雪が残る。

某寺の仏像は修復中、併せてあれこれ調査。既に台座に「七条左京」銘が確認されている。
夕刻から地域住民に対して説明会。端の方で拝聴。
今回は助言もあって近くのビジネスホテルに宿泊。
心地よい充実感と疲労感。もちろん調査成果も。

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こんなこともある調査

2019-4-21

他の主要な仏像を調査。

修復されている先生から釈迦を挟む阿難と迦葉の位置が逆だとの教示を受け、他の仏像も調査ということになった。
修復作業の手を止めて仏像を須弥壇から降ろしてもらう。たいへん申し訳ない限り。深謝。

途中で葬儀が入る(事前連絡有)ため、まず本堂の仏像を調査、細部写真などを撮って再び安置。
葬儀中は見えない場所で、釈迦如来坐像、阿難と迦葉を調査。

「七条左京」銘のある仏像群と本堂の仏像、釈迦三尊像はともに制作時期は近いものの、作者はいずれも京都仏師ながら異なるようである。宿題。

調査・修復の場所からは玄関に行けない(本堂を横切る)ので、挨拶もできず(住職はお仕事真っ最中)裏庭から退出。

JAL2238にて帰阪。

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とらリン

2019-4-23

昼休みに博物館運営委員会。

昨年から教職員も「(奈良博・京博)キャンパスメンバーズ」が適用となったとのこと。
「一遍聖絵と時宗の名宝」展や「藤田美術館」展も心置きなく行くことができる。後は時間確保のみ。

「報告その他」でとらリン(京都国立博物館マスコットキャラ)が、金曜日に博物館にくるという告知。
今回の委員会での最重要案件(大嘘!)?!

今年のうちのゼミ生に「とらリン」の大ファンである学生がいる。
さっそくLINEで告知?したら、「面接と重なり行けません、残念です」の返事とともにとらリンが寝そべり、号泣するスタンプが返ってきた。
ほんと、残念。

でも、なんで「とらリン」が関大に?
「キャンパスメンバーズ」利用率、向上のためにPR?
まさか。

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最強のたこ焼き

2019-4-24

会議の後、大学院の講義(副専攻EU-日本学教育研究プログラム)。いつも日本美術を講義。今日も「日本美術の流出(と関心)」。

西洋では日本美術は垂涎の対象ですよ。あなた方にその対応は出来ていますかという内容。

浮世絵に始まる日本美術の流出に始まり、山中商会、繭山龍泉堂、戦後のシャーマン・リー、ハリー・パッカード、ドラッカー、プライスと昨年秋からの「ジャポニスム2018」in parisまで。

「こうした中に行くんですよ。ゆめゆめ日本人の大学院生であることがばれないように。だって質問を受けて中高生レベルの不確かな知識でもって思い付きで答えても彼等は絶対に納得しませんから。」

今の大学生は「内向き」とマスコミは危惧するけれど、当のマスコミを含め多くの若者は日本文化や日本美術を知らない。反発はあるが、秀吉や平清盛といっても確実に北斎や若冲、光琳よりもずっとマイナーな存在。

文化的コミュニケーションははかり難く、かくなる上は、やっぱりたこ焼きか。

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50年前の関大

2019-4-26

今、年史資料展示室では「関西大学の学生運動」展を展示している。
昨今の大学では珍しい展示。

1914年の「母校改革運動」以降、何度か学生運動が起こっているが、1969年の大学立法への反対運動が大きく取り上げられている。

入学した頃には、正門右側(現:新関西大学会館南棟あたり)にまだゲバ字の横長大看板がいくつも並んでいたし、1回生が受講する語学の初授業は、教員の後からヘルメット学生が入ってアジビラ配ってひと演説あるのが、”大学最初の洗礼”。
教員も仕方ない・・・といった風で横で演説が終わるのを待っていた。

大学に赴任した頃もこうした残滓がまだいくつかあった。写真は旧第1学舎に貼られていた昔のアジビラ。
読みにくいが「安保条約長期固定反対」「核拡散防止条約反対」「新しい学生運動の本流」などと読める。
現在のほとんどの学生が関心があるとは思えないが、学史を刻み後世に伝えていく上で、こうした展示も非常に意義ある重要なことだと思う。

骨太の展示である。9月23日まで。

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10連休

2019-4-29

10連休、3日目。

この頃の報道を見ると、「神器動座」とか「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」などが話題となっている。

授業科目のひとつを「仏像」ではなく「神道美術」のほうがよかったのかな、と少しは思うものの、以前に何度か行った時には、やれ「右翼」だの「神話じゃないのか」だの散々な目にあった。
今なら学生も少しは関心もあろうが、あの時のトラウマから逃れるにはまだ勇気(度胸)が不足。

もちろんまじめに受講した元学生は、報道に触れながら「聞いた、聞いた!」とか「知ってる!」などと思い起こしているかもしれない。

講義(の一部)で話した内容がまさにこれから起こりつつあるので、真面目に受講した元学生はしっかり見ておくように。
不真面目だった学生(?)はアンケートに書いたように「(そんなこと)知らなくても生きていけます」ので、お気になさらず。

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