林宏昭・橋本恭之
『入門地方財政(第3版)』中央経済社20014年3月
   正誤表(第3版)
定価 本体2,800円+税

地方財政の機能や仕組み、地方税、地方交付税、地方債等の理論や動向についてコンパクトに解説したテキスト!
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目次 各章のねらい
はしがき はしがきより一部抜粋
 この本を読まれるほとんどの人は、日本国民であって、同時に○○都道府県民、○○市町村民のはずです。その中で、一番意識するのはどれでしょう。これは、たとえばオリンピックの時、高校野球の時、というように時と場合によって異なるかも知れませんが、否応なくいずれにも属しているということになっています。
 この本は、地方財政の教科書です。地方財政とは都道府県と市町村の財政の総称ですが、“財政”というとほとんどの人が国の財政をイメージするのではないでしょうか。毎年度の国の予算が決定したときに、テレビや新聞で「あなたの暮らしはこう変わる」という報道を見た覚えのある人は多いでしょう。また「財政構造改革」にしろ、「財政による景気対策」にしろ、財政に関してマスコミで取りあげられるのはほとんどが国の財政です。
 しかし、実は日々の生活に密接にかかわっているのは、地方公共団体の行財政です。私学等に通う一部の人を除いて、義務教育は市町村立の小中学校に通っている人がほとんどですし、高等学校にしても公立学校の出身者が多いはずです。皆さんの家から駅まで歩くときに、市町村道を通らずに行ける人は少ないでしょうし、ゴミの収集と処理も主として市町村が担当します。水道を供給しているのも地方団体が経営する公営企業、そして小中学校の先生や警察官はそのほとんどが都道府県の公務員です。このように考えると、市町村や都道府県の財政は、日常生活において非常に大切なものであるはずですが、地域の広報ぐらいでしかそれに接する機会はありません。
 また、本書の中で説明するように、地方財政は各地方団体のなかの仕組みだけではなく、国と地方との関係を含んでいるために、その制度的な枠組みがきわめて複雑です。このようなこともあってか、住民が「自分は地方税負担に見合うだけのサービスを受けていないのでは」と不満を持つケースが多いようです。
第1章 地方財政の機能 現代の資本主義経済において、かぎとなる役割を果たしているのは市場であり、価格である。その自然発生的で自動的な調整メカニズムは、社会にとって、構成員にとって最も効率的な解を用意してくれるはずであるが、経済にはそれだけでは解決できないことがらも数多く存在する。政府は、財政を通じてそれに対応し解決しようとするのである。本章では、財政の機能とその中でも特に地方財政の機能について述べる。
第2章 地方財政の現状と課題 地方財政とは、地方団体が予算を通じて行う経済活動の総称であり、国家財政とともに車の両輪をなすものである。本章では、21世紀を迎えた日本の地方財政がどのような状況におかれており、どのような課題に直面しているのかを説明する。
第3章 地方公共支出の経済学 地方政府の主な役割は、資源配分機能としての地方公共財の提供である。この地方公共財を地方政府はどの程度の水準に決めればよいのだろうか。この章では、ミクロ経済学の基礎的な理論を用いて地方公共支出のあり方を学ぶ。
第4章 地方財政の動向−歳出・歳入構造と財政指標− 日本の財政では、国と地方の純計歳出額約160兆円のうち、約3分の2が地方団体を通じて支出されている。したがって、財政支出の構造を理解するためには地方の歳出構造を知ることが不可欠である。本章では地方歳出の構造について述べるとともに、その財源、つまり歳入の構造を概観する。そして、いくつかの財政指標を用いて1990年代のバブル崩壊後の不況の長期化とともに悪化してきたと言われる地方財政の状況を見る。
第5章  地方税原則と地方税体系 歳出面で国と地方では担うべき役割が違うのと同様に、国税と地方税では異なる租税原則が存在する。この章では、地方税独自の租税原則を説明し、その租税原則が地方税の体系にどのように反映されているのかを学ぶ。
第6章  地方税制度 地方分権の流れの中で、財源面でも地方の自主財源の拡充が必要とされている。この章では、現行の地方税制度を詳しくみることで、地方の自主財源の拡大のためには地方税改革をどのように進めるべきかを考察する。
第7章 地方交付税 政府は地方交付税という形で、多額の資金を地方へ提供している。そのシステムは、近年地方分権を妨げるものとして批判されている。この章では、地方交付税制度の実態を明らかにして、その問題点を探る。
第8章 国庫支出金 国庫支出金とは、いわゆる補助金のことである。補助金は非効率的な支出の代表とされてきた。ただし、現実の補助金には、さまざまな形態のものが混在している。この章では現行の複雑な仕組みを整理し、補助金の経済効果についても学ぶ。
第9章 地方債 公共部門が資金調達のために発行する債券である公債は、国が発行する国債と地方団体が発行する地方債に区分できる。地方分権が叫ばれる中で、地方債の発行もこれまでの許可制から協議制へと変更されようとしている。本章では、地方債の意義や現状、これからの方向性について述べる。
第10章 民間活力と公営企業  財政は、税や地方債を財源として公共財の供給などの機能を果たすのが基本である。これに対して、地方団体が企業経営を通じて財・サービスを供給する地方公営企業があり、民間資金と公的な資金を組み合わせて活用する第三セクター方式が取られるケースもある。また、公共部門の活動の中に、従来よりもさらに民間資金の導入を積極的に進めるPFIと呼ばれる手法も注目されている。本章では、このような言わば民間部門と公共部門の境界にある分野を取りあげる。
第11章
地方分権のトピックス−三位一体改革と道州制
この章では、地方分権の最新のトッピクスとして、三位一体の改革と道州制について学ぶ。この2つの改革は、いずれも地方分権をめざした改革として位置づけることができる。三位一体の改革とは、小泉構造改革の一貫として実施された改革であり、具体的には国庫補助負担金の削減、交付税の削減と引き替えに国から地方へ税源移譲を行う改革である。道州制とは、現在の道府県制度を根本的に見直し、都道府県よりもより権限をもった「州」に集約しようとするものである。

地方財政厳選リンク集


総務省 旧自治省のホームページです
地方財政の状況 総務省ホームページ内にあります。
PFIホームページ http://www8.cao.go.jp/pfi/
21世紀の地方主権を支える税財政制度 外形標準課税で一躍有名になった東京都の税制調査会の答申のあらましです。答申本文はココからダウンロードできます。
地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律 地方分権一括法案の概要です。政府官邸のページです。
赤井伸郎のhomepage 地方財政関係のデータへのリンクが便利です。
地方財政関係の専門論文がPDF形式で公開されています。大学院生必見。
財政学資料集 当館の資料集のコーナーです。地方財政関係の拙稿も公開しています。
所沢のこいぬまのホームページ 地方分権、地方財政についてのコラムを読むことができます。
日本銀行神戸支店 兵庫県の経済データが入手できます。
Hyogo Economic Research IInstitute 全国と兵庫県の主要経済データがあります。
財政用語豆知識   〜これだけ知っていればあなたも財政通 福島県財政課作成の福島県の財政内にあります。収録語数は少な目ですが、解説は明解です。
岡本全勝のページ 復興庁統括官岡本全勝氏のサイトです。

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Last Updated  2016年6月26日 10:38:19