☆公務出張の報告☆ 

このページは、公務出張の画像等の資料を保管しています。

 ☆2023年2月6日~12日 調査研究のためアメリカに出張

2023年2月6日~12日の7日間、「サステナビリティ経営」をテーマに、アメリカにおいて、企業のデータ・ガバナンス、ダイバーシティ・マネジメント、コンプライアンスの実態調査を行った。
例えば、ロサンゼルス所在のある先進企業では、コンプライアンスと心理的安全性の向上を目的として、DEIB(Diversity:多様性、Equity:公平性、Inclusion:包括性、Belonging:帰属性)に、Justice(正義)を加えて、Unconscious Bias(無意識の偏見)の改善のための e-Training に取組んでいるが、副次的に従業員などの新規採用に有効に働いているそうである。アメリカでは、若い世代の「DEIB+J」への関心が高い。私のゼミ生達も就職活動の際、業績や待遇以上に重要な要素と見ており、今後わが国の「優良企業」の必須要件となるのではないだろうか。
その他、CCPAやGDPRに対応するデータ・ガバナンス、内部統制とコンプライアンスなど、「サステナビリティ経営」の重要な要素について、実態調査を行なった。これらの研究成果は、本年7月に出版予定の著書や、学会・研究部会などで報告を行なう予定である。
本研究は、関西大学学術研究員研究費によるものであり、謝意を表するとともに、アポイントメントや訪問準備にご協力頂いた多くの皆様に、心からの御礼を申し上たい。

 ☆2017年9月27日~30日ICDPPC参加のため香港に出張

2017年9月27日~30日の4日間、The 39th International Conference of Data Protection and Privacy Commissioners (The 39th ICDPPC)に出席した。
2017年、わが国では改正個人情報保護法が施行され、新設された個人情報保護委員会が、ICDPPCによって正式なData Protection and Privacy Commissionerとして承認された。The 39th ICDPPCは記念すべき会議となった。なお、本会議における主要な議題は、2018年5月25日に施行されるGDPRへのコンプライアンスと各国の監督機関の対応にあり方であった。

※会場となったKowloon Shangri-La、Hong Kong

icdppc1



※左は個人情報保護委員会 堀部政男委員長のご講演、右はOfficial party会場からの夜景

堀部政男委員長のICDPPCでのご講演   Official Partyでの夜景



 ☆2016年10月15日~23日ICDPPC参加のためマラケシュ(モロッコ)に出張

2016年10月17日~20日の4日間、モロッコ・マラケシュのPalmeraie Resorts Hotelの国際会議場で開催された、38th International Data Protection and Privacy Commissioners Conference (ICDPPC) に参加しました。
このコンファレンスは毎年各国持ち回りで開催され、世界各国のPrivacy Commissionerが出席し、プライバシーとデータ保護に関する議論が行われます。わが国からは、個人情報保護委員会の堀部政男委員長をはじめ、委員会のスタッフの方々が参加し、また大学・研究所の研究者、民間企業のデータ保護責任者、弁護士など10数名の方が参加していました。
Open sessionではU.S Department of CommerceによるEU-U.S. Privacy Shieldについてのworkshopを開催し、またNYMITYがEU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation : GDPR)へのコンプライアンスを提案するなど、多くの興味深いテーマが議論されていました。また、現在データ保護の十分性を申請中の韓国は、期間中に各国のキーパーソンとの会議を繰り返しており、私が大学院生時代に堀部政男先生がお話しされていた「プライバシー外交」を実感しました。
次回のICDPPCは、2017年9月25日~28日に香港で開催されます。わが国はいままでデータ保護の独立監督機関が存在しなかったため、ICDPPCの正式なメンバーではありませんでしたが、2017年5月30日に改正個人情報保護法が施行され、個人情報保護委員会が執行権限を持つこととなるため、香港でのコンファレンスで初めてわが国が正式なメンバーとして承認されることとなります。
35年以上前から堀部政男先生がご提案されていたことが実現する、記念すべきコンファレンスに立ち会うことができることを、今から楽しみにしています。

写真上は会場となったPalmeraie Resorts 、写真中はRegistration、写真下はFacebookのInnovation Lab Experience

Palmeria


Registration


Facebook Innovation Lab Experience




 ☆2016年2月26日~3月2日、イギリス、ロンドン出張の報告(速報)☆

堀部政男先生、野中高広弁護士にご紹介頂いた、ロンドンのSIDLEY AUSTIN LLPのWilliam Long弁護士とお会いし、EU-U.S. Privacy Shieldのadequacyに関して、またEU一般データ保護規則における「Anonymization」に関するICOガイダンス、adequacy未承認国に所在する企業のデータ移転の対応(BCRやSCCなど)に関する議論を行いました。さらにUniversity College of Londonなどを訪問し、大変有益な出張となりました。

2016年2月29日14時、SIDLEY AUSTIN LLPのWilliam Long弁護士とお会いしましたが、ちょうど訪問前の同日11:00に、EU-U.S. Privacy Shieldのadequacyに関する文書が公表され、議論を交わしました。今後、29条作業部会でチェックを行うこととなりますが、EU-U.S. Privacy Shieldのadequacyを認めた場合、現在未承認の第三国が同様の方法で次々と申請を行うような状況も懸念として考えられ、EUの判断が注目されます。
また、EU一般データ保護規則(提案)の前文で、本規則を適用しないと規定している「anonymous data」について、その定義や「anonymization」の方法についても議論を交わしました。特にわが国は今後、個人情報保護委員会において「匿名加工情報」に関する委員会規則を策定する予定であり、ビッグデータとしての個人データの利活用と保護、特に「anonymization」に関するUK Information Commissioner's Office(ICO) の規則と運用に係る制度設計、及びICOと業界団体・事業者との関係は、わが国への示唆をもたらすものと思われます。

写真上はUniversity College of London、写真下はWilliam Long弁護士と私

UCL


William Long弁護士と私




 ☆☆2011年8月5日~16日、アメリカ及びカナダ出張☆

公務出張にて、アメリカ・ハーバード大学、カナダ・オンタリオ州Information and Privacy Commissioner Office、Children's Hospital of Eastern Ontario Research Institute(CHEO)、Kids Media Centerの先行研究者と議論をして参りました。慌しくも有意義な出張でした。堀部先生、河田先生、土田先生はじめ、私の訪問のためにご尽力頂いた皆さま、また現地でご調整頂いたMarinovさん、Blockさん、ありがとうござました。論文としてまとめ、わが国の制度設計への提言として役立てたいと思います。
以下に「速報」として、写真と簡単な所感を掲載しました。(2011年8月17日記)


ハーバード大学 Kennedy School Ash Center

高野一彦の授業風景


ハーバード大学 Kennedy School Ash Centerを訪問し、クライシスマネジメント研究で著名なHowitt博士、Giles氏にお会いしました。まず、先方から研究内容や現在すすめているプロジェクトに関するご説明を頂き、私からは東日本大震災におけるわが国のクライシス対応やその後の状況などをご説明し、その後3時間にわたり議論を致しました。「各分野の専門家を集めてプロジェクトを組成し、政府・自治体が事前に資金調達計画を含めた災害時の復興計画を策定し、行政トップを対象にトレーニングを行っている」というHowitt博士のご説明を伺い、随分先進的な取組を行っているという印象を持ちました。


ハーバード大学風景

高野一彦の授業風景

高野一彦の授業風景



John Harvard像

高野一彦の授業風景


John Harvard像の足に触るとハーバード大に入学できるという伝説があるそうです。


ハーバード大学ロースクール図書館

高野一彦の授業風景


ロースクール図書館のライブラリアンに、日本の大学教員であることを告げると、4階まで入館できるとのことでした。院生の頃に読んだ論文、The Right to Privacy(プライバシー権を最初に論じた、Samuel W. Warren と Louis D. Brandiceの論文で、1890年のハーバードローレビューに掲載されている)を探したかったのですが残念ながら書庫のようです。
ロースクール図書館の奥には客員研究員の個室がたくさん並んでいました。


カナダ・オンタリオ州Information and Privacy Commissioner Office

高野一彦の授業風景

高野一彦の授業風景


カナダ・オンタリオ州Information and Privacy Commissioner(IPC)であるCavoukian博士、2名の副コミッショナー、コミッショナーのStrategic Advisor、3名のマネージャーと議論をしました。ずいぶん多くの要職者が貴重な時間を割いて集まって下さいました。感謝を申し上げます。
私から、日本ではまさに今、第三者機関ができつつあるという状況を紹介した上で、第三者機関の組織と機能、コミッショナーの権限と任命権者、欧州委員会が第三者機関に求める「完全なる独立性」の要件としての人事制度、などについて、オンタリオ州IPCやカナダのPrivacy Commissioner(PC)の状況をご説明頂きました。特に、オンタリオ州IPCの人事制度については、行政機関からの転籍、または期限付きの出向がずいぶんあるようです。欧州委員会との関係での「独立性」に、被監査部門である行政との人事交流があっても、あまり関係ないのではないか、かえって行政機関との人事交流がコスト削減や効率化につながっているのだとのご指摘があり、納得感がありました。
またコミッショナーは、プライバシー保護と情報公開の両分野において強い権限を持っている点が驚きました。強制調査権と勧告、自己付託や訴訟遂行の権限のみならず、命令権(Order)も有しています。
カナダにはPCと同様の第三者機関・コミッショナーが7つありますが、うまくいっているものとそうでないものがあるようです。コミッショナーには強い権限が集中しますので、だれがコミッショナーになるかが重要だと感じました。コミッショナー選定の手続き(どういう方法で選定するのか)、万が一コミッショナーが暴走したときに牽制する機能(コミッショナーの意思決定の合理性を訴訟以外の方法でチェックする機能)、またコミッショナーの選解任権はだれが持つのか、などを制度設計時に加味すべきと思いました。


カナダ・Kids Media Center

高野一彦の授業風景


そのほか、医療情報の匿名化研究で著名なChildren's Hospital of Eastern Ontario Research Institute(CHEO)の Emam博士と議論をしました。同センターのデータベースを作る際に、構想・設計段階でのIPCによる審査、制作過程でのIPCのアドバイス、そしてデータベース完成時のIPCの確認について、詳しくお話しを伺いました。Emam博士の著名な匿名化技術も然ることながら、Privacy by Designの思想に基づくIPCの関与の仕方や審査の基準について確認できたことは、大変有意義でした。

また、Centennial College(大学)の中にある、Kids Media Centerを訪問しました。このセンターは、子どもにとっての優良サイトを認証するという取組を行っており、昨年10月に Ms. Gordonが中心となって立ち上げたそうです。教育・研究機関が子どもの安全のために一定の基準に基づき優良サイトを認証し、マークを付与するという取組は斬新であると思いました。