日々雑記


ダウン

2016-12-01

午後からの授業。

着込んではいるものの、やや悪寒。いやな予感。
講義をする前から声がかすれ気味。
普段は気にも留めない学生(大教室、最後尾の座席)の小さな私語が耳障りになる。注意。
周囲の何気ない匂いも敏感に感じる。授業中に咳き込むこともしばし。やばい。
講義を終えて部屋にもどり、残った仕事を片付けようとするが頭が回らない・・・。
せっかく作った資料も誤って消してしまう有様。あぁ~。

帰宅。明日は休講の由。すまぬ。

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麦門冬湯

2016-12-2

朝から近所の医者へ。映画に登場するような診療所。久しぶり。

症状を尋ねられ、「咳がひどく特に就寝時は激しく咳き込む、熱は平熱にさがったかも」などと。
しばらく待合室にて。内科・小児科なので、壁に子供向きのポスターなどが貼ってある。
暖かな日差しが待合室に差し込んでいる。

診察。口を開けて、その後に聴診、以上。
「会社の健康診断でなにかありましたか?」と尋ねられ「高血圧」と。手押しポンプで血圧測定。会社での測定値よりも30も低い数値。「運動をしましょう、有酸素運動を。」とアドバイスされる。
その後、薬をもらって終了。薬は「麦門冬湯」ほか。

終日、寝込む。

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泥地

2016-12-3

諸般の事情から体調半ばながら大学で書類書き。

彫刻の修復で真っ先に除去されるが漆箔・彩色の下地としての「泥地」。「泥地」といえど、砥粉を膠で溶いて塗布するもの。近世になり多用されるとされるが、近世って何時ごろから始まるのだろうか。明確な時期をあまり考えたこともなかった。

さて近世作のとある仏像。
修復の必要性が出来たが、この泥地留めで悩む(アドバイスできない・・・)。
がっつり除去してしまえば、こと丸く収まるのだが、それでは「制作当初の部材や当初の彫刻面、彩色、漆箔は最も尊重され」る方針と齟齬する。 泥地を残したいのだが、「泥地」留めの方法が分からない・・・。困った。

誰かこうした技法について研究していないのだろうか。大慌てで本間紀男氏の『木彫仏の実像と変遷』を購入手配。

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高麗仏画

2016-12-4

風邪は治らないが、展覧会は待ってはくれぬ。泉屋博古館「高麗仏画-香りたつ装飾美」展へ。

如来は細かな金泥による円文や草花文に装飾された朱と緑青の衣をまとい、菩薩は透明のベールに身を包む美しい姿に圧倒。
なつかしい法道寺《阿弥陀三尊像》も久しぶりに拝見。泉屋博古館本と見比べるも、やっぱり法道寺本がよいよなと実感。
妙満寺《弥勒下生変相図》(至元31年・1294)、泉屋博古館・徐九方筆《水月観音像》や聖澤院《帝釈天像》など高麗仏画の名品の数々を堪能。

現在確認できる高麗仏画は約165件。高麗仏画が初紹介されたのは1978年の大和文華館での展覧会。その折には装飾経も含め70件。未出品ながら紹介が26件ほど。
「独立した学問領域として位置づけられる契機」(鄭氏)となったが、今日に至る40年弱の地道な蓄積があったからこそともいえる展覧会。

拝見後、雨も降り出したので寄り道せずに帰宅。

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仮金堂

2016-12-6

興福寺中金堂建設の覆屋ですっかり“日陰者”になってしまった仮金堂。

遠目からみても連子窓の一部は破損し、あわれな姿だが、中金堂建設が始まる以前は、薬王・薬上菩薩像、赤井右京の釈迦如来像などが安置されていた。
仮金堂は旧薬師寺金堂(室町時代)で、その後興福寺に移転。

興福寺のことだがらその後の利用は考えておられるだろうが、もし不要ならどこかの市町村が引き取って資料館やパブリックスペースにでも利用すればよいのにと密かに思う。
大和文華館「文華ホール」は奈良ホテル(辰野金吾設計)ラウンジの一部が移築されたもの。
まだ十分使える建築ながら”仮”のままではもったいない。
”仮”といえども室町時代の建築なんだから。

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文化財サービス

2016-12-8

大学からの帰途、車中でずっと立ちっぱなし。
ドア付近で広告(京阪グループ)を見る。叡山電鉄はもとより京福電鉄(嵐電)も同じグループなのかなどと。

京阪京橋駅を過ぎる頃にみえる「かんこう」は京阪グループ。
大昔は「関西航測」という社名で、「国際(航業)?関航?」などと航空撮影や測量でお世話になった。
愛称がそのまま社名へと変更。
その「かんこう」の下に「文化財サービス」と。はて?

帰宅後にググると、「かんこう」から埋蔵文化財業務そのものを独立した発掘調査支援業務の会社で、いわゆる発掘調査の民間業者。確かに「不動産」部門である。
全国にいくつもこの種の会社があるが、どこもなかなか発掘調査に留まらない事業の多角化で盛況の由。

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絵を読むこと

2016-12-09

夕刻、久々に阪急梅田ガード下「阪急古書のまち」に立ち寄る。
エエこと書いてあると、つい『別冊宝島EX 絵画の読み方』を購入。1992年1月発行。
巻頭言に「まず解読!鑑賞するのはその後だ!」と題して以下の文章。
絵画のよさを理解するには、自ら芸術創作を行なうような特別な習練を積み才能を磨く必要があると考えなければいけないのだろうか? 少なくとも、これまでの絵画鑑賞には、名画はいきなり「感じ」させてくれるものであることを強調する風潮が色濃かった。そして「感じる」ことのできない人たち(こういう人たちが多数派なのだが)は、「名画といわれるから、名画なんだろう」と、むりやり自分を納得させてしまうしかなかったのである。
芸術における感性が、創り手にとっても鑑賞する者にとっても大切であることは言うまでもない。しかし、芸術をめぐる状況がいつまでも感性優先の状態にあることは、名画にとっても、ふつうの人びとにとっても悲劇としか言いようがない。名画を見る楽しみは、ほんの一握りの人たちのものでしかなくなってしまうし、ときには権威を笠に着た独断にすぎない感性の押し売りや、「芸術」という美名をふりかざすばかりの主観に流れすぎる美術評論など、読むとますますその絵がわからなくなるような解説が横行するというウンザリするような事態さえ招きかねないからだ。
名画の鑑賞を感性のみに頼るものと考えるのは大きなまちがいだ。なぜなら絵画に意味がある以上、それを「読む」ことは可能だからである。そして「読む」ことは同時に「わかる」ことでもある。「わかる」からこそ、感動できるのだ。しかも、絵画を「読む」ことは、「感じる」ことと違ってすぐれて能動的な行為でもある。
まったくもってその通り。
高校まで学ぶ安っぽい感想が「感性」とは笑止千万。速水御舟「青の時代」とピカソの若年期「青の時代」とを結び付けて語るなど単なる語呂合わせ、思いつきにしか過ぎない。
知識がないと、絵画(そのほかの作品)が読めないことすら、わからない者があまりにも多い。

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タジカラ男

2016-12-10

加西市所有の白髪一雄《タジカラ男》(1989年、114×88㎝)。美術館併設考古資料館建設構想の頓挫でサザビーズにて売却。
ま、いろいろと事情はあるだろうが、「高評価 高額」な方へ売却するというのは、関西に至ってはごく自然な成行きで・・・。

「日本のしかるべき美術館」という人もいるが、白髪の「タジカラ男」1点だけ所蔵してもどうにもならない。白髪一雄コレクションをもつ国内美術館に収まればよいのだが、どことも財政難で手が出せない状況。

そもそも新聞では予想落札価格2千万円とするが、たぶん1桁違うと思う。
おととしは「激動する赤」(1969年、183×229cm)が390万ユーロ(5億4,590万円)、昨年のパリの国際現代アートフェアでの白髪の2作品が約600万ドル(約7億2000万円)。ざっとみても1億はすると思う。

運慶大日如来像と同じような状況。サザビーズにとっては、いやなら金を積めといったところか。
それより残りの購入美術品24点も同じくサザビーズ行きなのだろうか。

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事務屋さんと技術屋さん

2016-12-13

以前、仕事に関わる公的書類を作成。代表者名の欄の後には代表者の業績等を記入する欄がある。役所的には正しい書式。
代表者:(株)関西建設 代取 大阪一郎 業績欄:関西ビル建設躯体工事一式、梅田タワー内装工事一式・・・などと書く。

しかしわが社では戸惑う。理事長・学長の名前で、当方の仏像関係の業績を書くのはおかしい。
それで忙しいさなか、直接某役所に出向いて問合せをした。
その折、技術屋さんが対応し「しばしお待ちを・・・」と内部で相談、しばらくすると「どちらでもよい」との回答。
理事長・学長が必要となると、もうそれは唖然とするほどに、決裁が役所並みに時間がかかる。なので、当方の名で書類提出。

ところが今日、うちの事務屋さんからなかばキレ気味に連絡。
提出した書類を全部、理事長・学長の名前で差し替えろと先方から連絡があったとの由。
だ・か・ら、直接訪ねて問い合わせたのに。

事務屋さんと技術屋さんとの意思疎通をよくはかりましょうね。まったく。

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日本武尊

2016-12-15

『戦争と美術』改訂版(国書刊行会)が近々に刊行予定。藤田嗣治の作品も新たに収録の由。

旧版(現行版)の「彫刻」冒頭の図版に中村真人《草薙剣》(1941年 静岡市登呂博物館蔵)が掲載されている。
こんな作品
中村真人は《コレヒドールの朝》や《暁の進軍》といった古代神話と戦争を絡めた作品を制作しておりその一環で図版掲載されているが、《草薙剣》が『戦争と美術』にふさわしい作品かといえば、そうでないように思える。

1941年に日本武尊像を彫刻すること自体、『戦争と美術』の趣旨に合うとしても、右腰に草薙剣を帯びている・・・?。
日本武尊がサウスポーならいざ知らず、これでは剣は抜けない。あるいは“反戦彫刻”?

ともあれ、彫刻はタイトルと製作時期で決められているようで、石井鶴三《小国民》や北村西望《神威発動》など時代が時代だけに戦時風のタイトルを付けざるを得なかったとも思える作品もままある。
そうした意味では、平瀬礼太『銅像受難の近代』のほうがより直接的である。

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ブックオフ行

2016-12-16

来年度の卒論シート。これまで読んだ書籍や論文を掲げる項目がある。
とある学生の欄に鶴岡真弓『阿修羅のジュエリー』。

広義の同業者ながら、鶴岡真弓と(興福寺)阿修羅像がどうしても結びつかない。
鶴岡真弓の専門ってケルト美術じゃなかったけ。それが、またどうして阿修羅なんだ。
ライトな読み物だから、役に立たないが、節操がないというか、なんというか・・・。
ハセがコンテンポラリー・アートの本を書く以上に恥ずかしい。
(出版しているので、そうとは思わないんだ・・・)
学生にとっては同じ先生だろうが、こんな本読んでどうするつもりなのだろうか。

「じゃ、”ケルト美術”ですね。だったら西洋美術史でしょう」と断るか、松田誠一郎氏「8世紀の胸飾における伝統の形成と新様の受容について」をコピーして「これでも読みなさい!」とアドバイス(叱責)するかのどちらかだろう。

いずれにしろ『阿修羅のジュエリー』は学校帰りにでもブックオフで売ってきてください!

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マイナンバー

2016-12-17

先月、勤務先からマイナンバーを至急提出せよとの督促。
早々に届いていたが、市町村などから本書の確認(持参)やら、上娘(仕事の関係で別居)が取り出すなどして、いくら捜せども何処にいったのか分からない・・・。
やむなく、再交付の申請をしたが、もうそれからは大変な事態に。

まず、警察へ出頭し「紛失届」を出し、紛失番号を入手。そして個人番号カードコールセンターへ電話をして「一時停止申請」状態に。
その後に市役所へ赴くが、家人・末娘の自筆委任状と再発行手続き書類、そして身元確認のための3名のパスポート、手数料計1500円を持参し、手続き。

そしてほぼ1ヶ月たった昨日、ようやく新しいマイナンバー通知書が手元に。
ようやく勤務先の書類に記入するものの、書類をよく読むと、またもや「身元確認できる書類」が必要なことに気付く。あちゃ~。
煩雑なこと夥しい。

こんなことなら戸籍同様、市役所で保管してくればよいのに・・・。

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お子ちゃまの匿名社会

2016-12-20

恒例の「授業評価アンケート」期間。

オレンジの用紙はマークシート、黒い用紙は自由記述。
黒の用紙の表(1)には、「この授業の良かったところ・継続してほしいところを書いてください。」、裏面(2)は「この授業について改善・提案できるところがあれば書いてください」と英語併記にて。
マークシートは大学で集計、自由記述は教員がお持ち帰り。

授業の合間に読んでみるが、女子学生のような文字で(2)だけに「ぐだぐだしゃべってないで、早く試験にでるところを教えろ バカ!」とあった。

たった一人のお子ちゃま相手に腹をたててもどうかと思うが、毎回試験に出る可能性のある個所を指示していることは多くの学生が知るところ。久しぶりに(初めて)出席したら「授業評価アンケート」にあたったというべきか。このお子ちゃまは「記入上の注意」にある「侮辱的表現は厳に慎んでください」という漢字も読めないのだ。

「保育園落ちた日本死ね!!」が流行語大賞になるほどに、匿名なら無責任に誰でも何でも言える社会となった。これまで1、2度しか来ない学生に何の「授業評価」が出来るのか。
毎年、ごっそり渡されてごっそりと返却するが、自由記述を配布するのはもうやめよう。
クレームや改善点があれば、この子のように直接、研究室に来るがよい。

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こきるり、うすきるりのほし、ひたとあり

2016-12-21

先週の授業。『君台観左右帳記』。
一土の物 曜変、建盞の内の無上也。世上になき也。地いかにも黒く、こきるり、うすきるりのほし、ひたとあり、又、き色・白色・こくうすきるりなどの色々ましりて、にしきのやうなくすりもあり。萬疋の物也。
                    (おーい、(黒板)消すぞ~)
静嘉堂文庫美術館や藤田美術館、龍光院にくらべて非常に見劣り(というか、そもそも「曜変」なのか)。高台内の「供御」もアウトで、「ほし、ひたと」ない。誰かが、「お話にならないレベル」と言っていたが、その通り。2500万も微妙。たぶん「曜変」だと2ケタは違う。

家人に録画をお願いしたこちらがバカだった・・・。

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一斉休業とはいえ

2016-12-22

今日で年内の授業終了。大学も明日で終了。夕刻、大慌てで年末の出張伺い。
行先は「某大学博物館」と記したが、実際は某大学の先生。
アポを取ると「では、大学博物館で」と言われたので、その通りに記したが、提出後に、これは大学的に非常にマズい記載だと。

かつて某博物館学芸員を尋ねてお伺いしたのだが、訪問日が休館日の月曜日。
さっそく事務方から「その日は休館だったのですが・・・」と疑惑のまなざし。

今回もきっと「某大学は25日から一斉休業なんですが・・・」と年明けには連絡が来るだろう。
年末年始に教員が大学研究室や関係部署に在室していることもさほど不思議ではない。
天文系は「365日24時間体制で観測しています」と時折TVでも流れているが、そうした状況と似た境遇であることを大学事務も理解しているとは言い難い。
「ガムでもお菓子でもいいので、(現地の)レシート、下さい」と言われたこともある。

「Kandai Vision 150」もいいけど、旧態依然たる決裁システムをなんとかしないと。

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X’masプレゼント

2016-12-24

今日で図書館もCLOSE。お昼前から夕刻まで図書館に籠って調べもの&コピー。
帰宅すると、X’masプレゼントが届いていた。目黒区美術館『色の博物誌』。

12月17日(土)夜、目黒区文化振興財団へ図録注文、翌日お昼前に代金振込の請求。
この頃に図録がSold OutであることをSNSで知る。会期終了翌日の月曜(12月19日)に入金。「Sold Outになりました。返金します」と連絡が来たら・・・とかなり不安に入金。
21日に入金確認の連絡。「本日、送付いたしました」との由。

ハラハラドキドキの図録購入。
だから無理しても展覧会をみないと・・・と反省。

噂に違わぬ、超充実した内容。

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年末の東京

2016-12-26~27

東京出張。
既に東京国立博物館は閉館しているが、資料館は最後の開館日。

市町村単位発行の調査報告書や図録など、事前に調べておいた図書を請求。
国立国会図書館や東文研資料室もあるが、こちらが望む図書はここがもっとも充実。不思議なことだが、都道府県立図書館にもなく地元の図書館しか架蔵されていない図書もここにはある。

ホテルで図書コピーを広げながら、さっそくデータベースに入力。

翌日、朝から雨、時折強雨。国立公文書館へ。
こちらも「利用請求書」を示しながら文書の請求。主に「内閣文庫」。一部読めない文字もあるが、なるほどと納得。

午後から激しい雨のなか某大学博物館へ。
某先生と面談。初対面。
開口一番「そういうこと(近世彫刻)に関心を持つ人はあまりいないですね」と。
お話ししながらもあれこれと史料が提示されて、「ここにこういう記述がありますが・・・」と。史料をみながらこちらの脳裏にはおぼろげながらもアウトラインが浮上。未確定なアウトラインをそのままお話すると、合点がいかれたようで、最後は「新たな史料があれば連絡します」とまで。

すっかり日が暮れた頃、缶ビールと崎陽軒の弁当を買って帰阪の途につく。

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発熱

2016-12-29

傘の差し方が下手なのか、無理が祟っているのか、朝から発熱。午後からは胃も痛む。
とうとう夕刻には数度の”リバース“。
今年は忘年会もなかったというのに、なにゆえこういう事態に。
かつて年末年始を入院先の病床で過ごしたこともあり、家人が引きつりながら「大丈夫?」と。
ダイジョウブ・・・。

その後は胃痛も収まり、安静。
もう齢である。

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東奔西走

2016-12-30

写真で振り返る今年。


真冬の山形(1月)

僧形八幡神像(2月)

桜の本法寺(3月)

関市・千手院(4月)

熊本大地震(4月)

山形・永昌寺(6月)

今年2度目の那覇(6月)

問い合わせ(7月)

上京(早稲田大学)(8月)

高野山(9月)

上京2度目(9月)

能登・蛸島(9月)

上京3度目(10月)

みたび山形(11月)

高麗仏画展(12月)

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過去ログ