体制

私たちは、これまでに培ったデータマイニング技術を基盤に、経験的アプローチからより高度な行動予測モデルの構築、顧客の特徴抽出手法の開発を行います。これにより、従来の理論にとらわれない、新しい消費者行動モデルの構築が可能になると考えています。
特に文字列解析、グラフマイニングのマーケティング応用では国際的に独自性、優位性を持つ研究基盤を持っており、またこれらを購買履歴データ分析に統合するプラットフォームとして、我々が開発した MUSASHIを採用することにより、システムプラットフォームから、データマイニング・アルゴリズム、アプリケーション、マーケティング理論までを包含する包括的な研究を実施することが可能となります。

私たちが取り組んでいる研究テーマの1つである、マーケティングにおけるストリームデータを用いた顧客の店内動線分析研究を行う組織は国際的に見ても非常に少なく、特に私たちDMラボが取り組んでいる10,000属性以上を同時に扱う広告効果モデルは、この研究分野の先導的な役割を担っています。

これまでに行ってきた研究は国際的にも高い評価を受け、産学連携を通じて、国内外の100社を超える企業でさまざまな技術導入が行われています。また、NHKの科学番組でもその内容が紹介されるなど、本研究領域に対する関心は、ますます高まっています。

以下に私たちの研究体制を示します。

研究体制図

インターネットショッピング、POSシステム、ポイントカードなどを用いた購買・顧客情報など、消費行動に関する1,000,000〜2,000,000人規模の膨大なストリームデータを収集・蓄積する。

収集した巨大なトランザクション、センサーネットワークデータ(ストリームデータ)を扱う大規模多次元データ対応のシステム整備として、大規模データ処理用の計算機器、ストレージの整備、MUSASHIをベースにしたシステムプラットフォームの開発・検討を行う。

また、時系列モデルに関連するデータマイニング研究を行うために有効な手法・アルゴリズムの検討として、初期段階は文字列解析、グラフマイニングなどを中心に行い、さらに新しい技術・手法の開発・実装を行う。

人間行動の理論的検討、意味・状況の解釈についてのデータマイニングを行うと同時に、コントロールすべきマーケティング変数など、コロンビア大学と理論検討を行う。また国際ワークショップを開催し、理論的な枠組みの決定、小規模な予備実験の実施検討を行う。カルマンフィルターなど統計数理で開発されている時系列モデルを広告データの多次元データに適用する研究やストリーミングデータに対応可能な分離モデルの開発を行う。

広告番組視聴の有無など、広告に関する10,000属性を超えるパネルデータを用いた広告効果測定モデルを構築し、最適資産配分の枠組みを開発する。特に組み合わせ最適化の手法を応用し、広告効果のモデリング、最適資産配分についての理論的・実証的な検討を行う。

研究成果から得られた知見をもとに、産学連携のもとで新しいマーケティング戦略を策定し、実店舗実験・実証に向けて、RFIDやWifi端末の導入をコスト、センサー精度の観点から検討すると同時に、RFID技術を用いて収集された顧客動線に関するストリーミングデータを解析する技術・手法の開発を行う。

関東または関西地域において、センサーネットワーク技術を用いた顧客動線追跡の店舗実験を実施する。実験に際しては、店舗情報などを可能な限りコントロールし、マーケティング変数をモデル内に効果的に取り組むよう設計を行う。実験で得られたデータをもとに理論的な検証を行い、新商品の店内配置問題へのレイアウト最適化、プライシング戦略等へのアプローチを行う。

上記をサイクル化し、2回目以降の店舗実験では、異なる地域、チェーン店舗で実施し、店舗・地域間での比較検討を行うとともに、顧客の店舗内の行動と購買行動の関係を理論化し、実際の企業が導入するための低コストで構築・運用できる顧客データベース技術、ノウハウを開発する。また店頭マーチャンダイジングで重要な役割を担う国内製造業とも積極的に連携を行い、産学連携の共同研究体制を構築する。

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